「ストレスで胃が痛むのはなぜ?」
「どんな病気が隠れているの?」
ストレスによる胃痛は、自律神経のバランスが崩れることで胃酸が過剰に分泌されたり、胃の血流が低下したりして起こります。
多くは生活習慣の見直しや薬物療法で改善できますが、胃潰瘍、胃がんといった病気が隠れている場合もあるため注意が必要です。
今回は、「ストレスが原因で胃痛が起こる仕組み」「疑われる病気」「受診すべき症状の見分け方」「自分でできる対処法」について詳しく解説していきます。
また、吐血や激しい腹痛など、すぐに受診すべき危険なサインもお伝えします。
ストレスで胃痛に悩んでいる方や、いつ病院に行くべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
ストレスが原因で胃痛が起こるの?
ストレスが原因で胃痛が起こることは実際にあります。
強いストレスで自律神経のバランスが乱れ、胃酸が増えたり胃の血流が減ったりして粘膜が傷つきやすくなるためです。
その結果、食後に胃が重くなったり、空腹時に差し込むような痛みが出ることがあります。
例えば、仕事のプレッシャーや人間関係の悩みが続くとき、食事量が変わらなくても胃痛が出る人も少なくありません。
検査では大きな異常がないのに、ストレスなどが影響して「機能性ディスペプシア」と診断されるケースも報告されています。
受診するべき胃痛の症状
受診するべき胃痛の症状は、「いつもと違う強い痛み」や「出血のサイン」があるときです。
冷や汗が出るほどの激痛や吐血、黒い便(タール便)、発熱を伴う胃痛などは、緊急に治療が必要な状態とされているからです。
放置すると、出血性ショックや腹膜炎など命に関わる合併症につながる可能性があります。
受診するべき胃痛の症状
| 症状の特徴 | 具体的な例 |
|---|---|
| 我慢できない強い痛み | 冷や汗が出るほどの激痛、立っていられない痛み |
| 出血のサインがある胃痛 | 吐血、黒い便(タール便)、血の混じった嘔吐 |
| 全身症状を伴う胃痛 | 38℃以上の発熱、顔色不良、ふらつきや意識がもうろうとする状態 |
| 長く続く胃の痛み | 1週間以上続く胃痛・胃もたれ、食欲低下や体重減少 |
上記の症状に心当たりがある場合は、「少し様子を見よう」と無理に我慢せず、早めに受診することが大切です。
特に出血や激しい痛みがあるときは救急受診も選択肢になります。
迷ったときも自己判断に頼らず、医療機関や救急相談窓口に相談するようにしましょう。
胃痛を引き起こす病気とは?

胃痛を引き起こす病気は、以下の通りです。
| 病名 | 主な症状 |
|---|---|
| 急性胃炎 | みぞおちのキリキリした痛み、胃もたれ、吐き気 |
| 慢性胃炎 | みぞおちの痛み、胃もたれ、吐き気、食後の膨満感 |
| 胃・十二指腸潰瘍 | 強いみぞおちの痛み、胸やけ、吐き気 |
| 逆流性食道炎 | 胸やけ、酸っぱい液体の逆流、みぞおちの痛み |
| 胃がん | 胃の痛み、不快感、食欲不振、体重減少 |
| 胃痙攣 | 突然のキリキリとした強い痛み、冷や汗 |
それぞれの特徴を詳しく解説していきます。
急性胃炎
急性胃炎は、ストレスや暴飲暴食、薬の副作用、細菌やウイルス感染、アルコールや刺激物のとり過ぎなどがきっかけで、短期間のうちに胃の粘膜が炎症を起こす病気です。
みぞおちのキリキリする痛みや胃もたれに加えて、吐き気、胸やけ、お腹の張り、食欲低下、場合によっては発熱や黒っぽい便が出ることもあり、仕事や家事に支障が出るほどつらく感じることがあります。
このような症状が急に現れた場合は市販薬だけで我慢せず、消化器内科などで原因を調べてもらい、適切な治療を受けることが大切です。
慢性胃炎
胃痛が続くときは、慢性胃炎が潜んでいる可能性があります。
慢性胃炎は、胃の粘膜に炎症が長く続く病気で、多くはピロリ菌感染が原因といわれています。
日本では慢性胃炎の多くがピロリ菌によるとされ、放置すると萎縮性胃炎や胃潰瘍、将来の胃がんリスクが高まることがあります。
具体的には、みぞおちの痛みや胃もたれ、吐き気、食後の膨満感、空腹時や夜間の胸やけなどが続く人に慢性胃炎が見つかることがあります。
慢性的な胃痛や胃の不快感が続く場合は、「歳のせい」や「疲れのせい」と決めつけず、早めに消化器内科を受診して原因を調べることが大切です。
胃・十二指腸潰瘍
胃痛が続くときは、胃・十二指腸潰瘍が隠れている可能性があるため、早めに受診することが大切です。
胃・十二指腸潰瘍は、胃酸が粘膜を深く傷つけてしまい、みぞおち周辺に強い痛みが出る病気です。
主な原因はピロリ菌感染や痛み止め(解熱鎮痛薬など)の飲み過ぎなどで、防御力が弱くなった粘膜に胃酸がダメージを与えることで潰瘍ができます。
たとえば食後や空腹時にズキズキした痛みが続く、胸やけや吐き気がある、黒くタールのような便や血が混じった吐物が出る場合は、出血を伴う潰瘍の可能性があります。
このような症状があるときは我慢せず、早めに消化器内科で検査するようにしてください。
逆流性食道炎
逆流性食道炎は、胃酸や胃の内容物が食道に逆流して炎症を起こし、みぞおちの痛みや胸やけを招く代表的な病気です。
本来は逆流を防ぐはたらきがある「下部食道括約筋」のゆるみや、胃酸分泌の増加、肥満や前かがみ姿勢、食べ過ぎ・脂っこい食事、ストレスなどが重なり、食道に強い酸が長く触れるためと考えられています。
日本では成人の約10〜20%が胃食道逆流症の症状を経験すると報告されており、決して珍しい病気ではありません。
例えば、食後や横になった時に胸が焼けるように熱い、酸っぱい液体がのどまで上がる、げっぷが増える、みぞおちが締めつけられるように痛む、といった症状は逆流性食道炎が疑われます。
胃がん
胃がんは初期には症状が乏しいものの、進行すると胃の痛みや不快感、胸やけ、吐き気、食欲不振などが出る病気です。
早い段階では胃炎などと似た軽い症状か、全く自覚がないことも多いと言われています。
例えば、みぞおちの鈍い痛みが続く、少量の食事でもすぐお腹がいっぱいになる、体重が徐々に減る、黒っぽい便が出るといったサインは注意が必要です。
こうした症状が数週間以上続く場合は、市販薬だけで様子を見ず、消化器内科で胃カメラ検査を受けることが勧められます。
胃痙攣
突然みぞおちがキリキリと強く痛み、冷や汗が出るような胃痛があるときは、胃痙攣を起こしている可能性があります。
胃痙攣は、胃の周りの筋肉が一時的に痙攣することで起こる状態で、激しい痛みや吐き気を伴いやすい症状とされています。
原因としては、強いストレスや緊張、冷え、暴飲暴食に加え、胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胆石症、膵炎、胃がんなどの病気が隠れていることも多いです。
例えば、食事のあとや強いストレスを感じたときに、数分から1〜2時間ほどみぞおちが急に締めつけられるように痛み、吐き気や嘔吐、下痢を伴うことがあります。
胃痛を検査する方法
胃痛を検査する方法は以下の通りです。
- 胃カメラ検査(内視鏡検査)
- 腹部超音波検査(エコー検査)
- 血液検査
胃痛の原因はさまざまで、胃そのものだけでなく胆のうや膵臓など他の臓器が関係していることもあります。
上記の検査を適切に組み合わせることで、初期段階であっても原因を特定し、効果的な治療につなげることが可能です。
胃カメラ検査(内視鏡検査)

胃痛の原因を調べるとき、代表的な方法は胃カメラ検査(内視鏡検査)です。
食道や胃、十二指腸の内部を直接観察できるため、炎症や潰瘍、ポリープ、腫瘍などの病変をしっかり確認できるからです。
痛みや不快感が気になる方も多いですが、最近の医療現場では苦痛が少ない経鼻内視鏡(鼻から挿入するタイプ)や鎮静剤の使用によって、検査時の負担を大幅に軽減できます。
検査の結果、炎症やポリープなどが見つかれば、必要に応じ組織を採取する「生検」も可能です。
腹部超音波検査(エコー検査)

腹部超音波検査は、皮膚にゼリーを塗ってプローブ(探触子)を当てるだけで、肝臓、胆のう、膵臓、脾臓、腎臓などの臓器を観察できます。
胃痛の場合、実は胃そのものではなく胆のうや膵臓が原因となっているケースがあるため、超音波検査でこれらの臓器を確認することが重要です。
検査時間は20分程度で、レントゲンやCTのように放射線を使わないため安心して受けられます。
血液検査
胃痛に関する血液検査では、主に炎症の有無や胃の健康状態を調べます。
白血球の数や炎症性蛋白(CRP)を測定することで、胃や腹部に炎症が起きていないか、細菌感染症がないかを確認できます。
また、ピロリ菌感染の有無を調べるヘリコバクター・ピロリ抗体検査と、胃粘膜の萎縮度を測るペプシノゲン検査を組み合わせることで、胃の健康度をA~Dの4段階で判定できます。
この検査はABC検査(胃がんリスク検査)と呼ばれ、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんのリスクを評価するのに役立ちます。
胃痛の治療方法
胃痛の治療は原因となる疾患によって異なりますが、主に薬物療法・生活習慣の改善・原因疾患への治療の3つのアプローチがあり、これらを組み合わせることで効果的に症状を緩和できます。
主な治療法
| 治療方法 | 内容 | 主に対象となる病気 |
|---|---|---|
| 薬物療法(制酸薬・粘膜保護薬など) | 胃酸を抑えたり粘膜を守って痛みを和らげます | 急性・慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎など |
| ピロリ菌除菌 | 制酸薬と2種類の抗生物質を一定期間内服して菌を退治します | 慢性胃炎、胃潰瘍、胃がん治療後など |
| 生活習慣の改善 | 暴飲暴食や刺激物、喫煙、ストレスを減らして胃への負担を軽くします | 多くの胃の病気に共通 |
| 内視鏡治療・手術など | 内視鏡での処置や手術、抗がん剤治療などで病変を直接治療します | 進行した潰瘍、出血、胃がんなど |
胃痛の治療では、薬物療法と並行して生活習慣の見直しが重要です。
消化に良い食事を心がけ、脂質や香辛料を控えること、規則正しい食事時間を守ること、十分な睡眠とストレス解消を意識することが推奨されます。
また、症状が続く場合は必ず医療機関を受診し、内視鏡検査などで原因を特定することが大切です。
自分で試せる胃痛の対処法
自分で試せる胃痛の対処法について紹介していきます。
- 前かがみや横向きに寝る
- お腹を温める
- 深呼吸をする
前かがみや横向きに寝る
前かがみの姿勢は、体育座りのように脚を前で抱えて座ることで腹壁の緊張が緩み、胃の痛みが和らぐ可能性があります。
一方、横向きに寝る場合は「シムスの姿勢」と呼ばれる体勢が推奨されており、上側の膝を90度程度に曲げて下側の脚より前に出します。

この際、右側を下にすると胃から十二指腸への消化物の移動がスムーズになり、胃もたれの改善や消化促進に役立ちます。
反対に左側を下にすると、胃酸の逆流を防ぐ効果が期待できるため、胸焼けや逆流性食道炎の症状がある方に適しています。
お腹を温める
胃痛でお悩みの方には、お腹を温めることが効果的な対処法の一つです。
温めることで胃や腸の血流が良くなり、痛みの緩和が期待できるからです。
カイロや蒸しタオル、湯たんぽなどを使ってみぞおち周辺を約30分温めると良いでしょう。
また、白湯を飲むことも内臓を温めて消化機能を改善するため効果的です。
特に食べすぎによる胃痛や、冷えが原因の胃の不調には温めることが有効です。
横になってリラックスした状態で腹部を温めると、胃の筋肉の緊張がほぐれ、より痛みが和らぎやすくなります。
深呼吸をする
胃痛が起きたときにできる簡単な対処法として、深呼吸がおすすめです。
深呼吸をすると、体がリラックスして胃の緊張が和らぎ、痛みが軽くなることがあります。
胃の痛みは、ストレスや緊張によって自律神経が乱れると起こりやすくなります。
ゆっくりと深呼吸をすることで、副交感神経が優位になり、胃の働きが落ち着いて痛みが和らぐのです。
特に、お腹に意識を集中して鼻から吸い、口からゆっくり吐く呼吸法が効果的です。
ストレスと胃痛の関係に関するよくある質問
以下では、ストレスと胃痛に関するよくある疑問を解説します。
- ストレス性胃痛に対して効果がある漢方薬は?
- ストレスによる胃痛の場合はどのタイミングで受診すべきですか?
- ストレスが原因の胃痛の際はどんな食事内容を心がければ良いですか?
ストレス性胃痛に対して効果がある漢方薬は?
漢方薬の「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」や「安中散(あんちゅうさん)」がよく使われます。
半夏瀉心湯は、胃腸の不調や自律神経の乱れを整えるのに適しており、安中散は腹部の張りや痛みに効果があるため、ストレスによる胃痛に対して選ばれています。
ストレスによる胃痛の場合はどのタイミングで受診すべきですか?
ストレスによる胃痛でも、「1週間以上続く」「市販薬でも良くならない」「仕事や睡眠に支障が出ている」と感じた時点で、医療機関の受診を検討しましょう。
ストレスは自律神経を乱し、胃酸が増えたり胃の動きが悪くなったりして、機能性ディスペプシアなどの病気につながることがあるからです。
また、「黒い便」「吐血」「急な体重減少」などを伴う場合は、胃潰瘍や胃がんなど重い病気が隠れていることもあります。
ストレスが原因の胃痛の際はどんな食事内容を心がければ良いですか?
胃痛に悩む方は、消化に優しく刺激の少ない食事を心がけることが大切です。
具体的には、おかゆや雑炊、うどんなどのやわらかく消化しやすい炭水化物、白身魚や豆腐など脂質が少ないタンパク質、キャベツやじゃがいも・人参などよく煮込んだ野菜がおすすめです。
逆に、脂っこい揚げ物や香辛料、コーヒー、アルコール、炭酸飲料などの刺激物は控えましょう。
また、少量をよく噛んで食べること、食事の時間を規則正しくすることもポイントです。
まとめ
ストレスが原因で起こる胃痛は、自律神経の乱れによって胃酸が過剰に分泌されたり胃の血流が低下したりすることで発生します。
今回紹介した受診のタイミングや対処法を参考にして、「いつもと違う強い痛み」や「1週間以上続く症状」があれば我慢せず早めに消化器内科を受診しましょう。
特に吐血や黒い便、激痛を伴う場合は緊急性が高いため、迷わず医療機関に相談することが大切です。


