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はげになる病気一覧!髪が抜ける内臓疾患や男性・女性別の原因と治療法を解説

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髪がごっそり抜ける、急に頭頂部が薄くなった——こうした症状の背景には、AGAや円形脱毛症といった病気が隠れている可能性があります。

男性の場合、38歳前後から薄毛を自覚する人が増え、成人男性の3人に1人が男性型脱毛症を発症。

10円はげと呼ばれる円形脱毛症は、ストレスだけでなく自己免疫の異常が原因となるケースも多く、放置すると全身脱毛症へ進行するリスクも。

内臓の病気や甲状腺疾患が抜け毛を引き起こしている場合もあり、まずは皮膚科や専門クリニックでの受診が重要です。

目次

髪が抜ける病気の種類一覧|はげの原因となる脱毛症と内臓疾患を解説

髪が抜ける病気は大きく分けて脱毛症と内臓疾患の2つに分類されます。

脱毛症は毛包への攻撃やヘアサイクルの乱れによって発症し、円形脱毛症やAGAなどが代表例として挙げられます。

一方で甲状腺疾患や膠原病といった内臓の病気も抜け毛の原因となるケースがあります。

慶應義塾大学病院によると、脱毛症は内分泌異常や膠原病など内科的な病気に関連して発症する場合があると報告されています。

はげの原因を正確に把握することが適切な治療への第一歩となるでしょう。

「脱毛症はひとつの病気ではありません。脱毛が起きる原因や実際に毛髪を作る毛包がどの程度壊されるのかなどをもとに幾つかに分類されています。」

引用元:慶應義塾大学病院 KOMPAS「脱毛症」

髪の毛がごっそり抜ける病気は脱毛症と内臓疾患の2種類に大別できる

髪の毛がごっそり抜ける病気は毛包の破壊によるものと毛周期の乱れによるものに大別されます。

杏林大学病院の解説では、脱毛症は毛包が壊されるタイプと毛の抜け替わり周期が乱れるタイプの2種類に分類できると説明されています。

毛包が壊される場合は永久的な脱毛となる可能性があり、早期の治療介入が重要です。

毛周期の乱れによる脱毛は原因を取り除くことで回復が見込めるケースが多いといえます。

甲状腺疾患や膠原病などの内科的な病気でも抜け毛が増えたり薄毛になったりすることがあります。

髪の毛がごっそり抜ける症状が現れた場合は原因の特定が治療方針を決める上で不可欠です。

「脱毛症は大きく① 毛をつくり出す皮膚に埋まっている毛包と呼ばれる器官が壊されてしまうもの ② 毛の抜けかわりの周期が乱れてしまい、ふだんより抜け毛が多くなるものに分けることができます。」

引用元:杏林大学病院「これって病気?気になる抜け毛、薄毛とそのしくみ」

脱毛症は毛包への攻撃やヘアサイクルの乱れで発症する

脱毛症の発症メカニズムは毛包への免疫攻撃やヘアサイクルの異常が主な原因となっています。

毛髪は成長期、退行期、休止期という周期を繰り返しており、正常な頭皮では約85%が成長期にあります。

厚生労働省の資料によると、毛周期のサイクルが崩れて正常範囲を超えた脱毛が起こり毛が減った状態を脱毛症と定義しています。

円形脱毛症では自己免疫反応によって毛包が攻撃され、AGAでは男性ホルモンの作用で成長期が短縮されます。

ヘアサイクルの乱れは栄養不足やストレス、ホルモン変化など様々な要因で引き起こされる可能性があります。

脱毛症の種類によって治療法が異なるため、専門医による診断が重要といえるでしょう。

「人の髪や体毛は通常、毛周期と呼ばれる一定のサイクルを保ち、『毛が伸びる』『毛が抜ける』『毛が生える』を繰り返しています。毛周期のサイクルが崩れ、何らかの原因で正常範囲を超えた脱毛があり、毛が減ってしまった状態のことを脱毛症といいます。」

引用元:厚生労働省 再生医療等提供計画公開システム

内臓の病気による抜け毛は甲状腺や膠原病などの全身疾患が原因

内臓の病気が原因で抜け毛が発生するケースは決して珍しくありません。

慶應義塾大学病院の解説では、脱毛症は内分泌異常や膠原病など内科的な病気に関連して発症する場合があると明記されています。

甲状腺疾患では甲状腺ホルモンの過不足がヘアサイクルに影響を与え、びまん性の脱毛を引き起こします。

膠原病の一種である全身性エリテマトーデスでは自己免疫反応により毛包が攻撃されることがあります。

鉄欠乏性貧血では毛母細胞への栄養供給が不足し、抜け毛が増加する傾向にあります。

内臓の病気が背景にある脱毛は原疾患の治療が最優先となるため、血液検査などで原因を特定することが大切です。

「脱毛症は、内分泌異常や膠原病など内科的な病気に関連して発症してくる場合があります。また、脱毛症状が梅毒などの感染症の一症状であったり、亜鉛や鉄などの毛髪を作るのに重要なミネラルが欠乏するために生じる場合もあります。」

引用元:慶應義塾大学病院 KOMPAS「脱毛症」

抜け毛が危険なサインかどうかは1日100本以上の脱毛量で判断する

抜け毛が危険なサインかどうかを見極める基準として1日100本という目安があります。

厚生労働省の資料によると、1日に50本から100本程度の抜け毛は生理的脱毛と呼ばれる正常範囲の生え変わりです。

杏林大学病院では1日70〜80本、100本程度までなら問題ないと説明されています。

100本を超える脱毛が継続する場合や脱毛部分が目立つようになった場合は脱毛症の可能性を考慮すべきでしょう。

シャンプー時に排水口に溜まる髪の量が急に増えた場合も注意が必要です。

抜け毛の本数だけでなく、毛根の形状や髪の太さの変化も危険なサインを見分けるポイントとなります。

「1日に50本から100本位の抜け毛は生理的脱毛と呼ばれる正常範囲の生え変わりです。一方、毛周期のサイクルが崩れ、何らかの原因で正常範囲を超えた脱毛があり、毛が減ってしまった状態のことを脱毛症といいます。」

引用元:厚生労働省 再生医療等提供計画公開システム

急にはげる病気の代表格|円形脱毛症の原因・症状・治療法を徹底解説

急にはげる病気として最も知られているのが円形脱毛症です。

円形脱毛症は自己免疫疾患の一種であり、免疫細胞が誤って毛包を攻撃することで発症します。

東京医科大学病院によると、人口の0.1〜0.2%に発生し、一生のうちに発症する確率は1.7%と報告されています。

10円玉サイズの脱毛斑が突然現れることから10円はげとも呼ばれます。

男女差はなく全年齢層に発症する可能性があり、ストレスや遺伝的素因が関与していると考えられています。

急に禿げた場合は円形脱毛症を疑い、早めに皮膚科を受診することが回復への近道となるでしょう。

「円形脱毛症は毛球部に対する自己免疫疾患といわれています。人口の0.1〜0.2%に発生すると言われ、一生のうちに円形脱毛症になる確率は1.7%と報告されています。男女差はなく全年齢層に発症します。」

引用元:東京医科大学病院 皮膚科「脱毛症外来」

10円はげ(円形脱毛症)は自己免疫疾患で毛包が攻撃されて発症する

10円はげとして知られる円形脱毛症は自己免疫疾患に分類される病気です。

杏林大学医学部の研究によると、円形脱毛症は自身の免疫が誤って成長期毛の毛球部に発現する自己抗原を攻撃することで脱毛を引き起こします。

通常は外敵から身体を守るはずの免疫システムが毛包を異物と認識してしまうことが発症のメカニズムです。

円形脱毛症の患者には橋本病などの甲状腺疾患やアトピー性皮膚炎を合併するケースが多いことも特徴として挙げられます。

脱毛斑は境界が明瞭で円形または楕円形を呈し、瘢痕を残さない非瘢痕性脱毛に分類されます。

10円はげを発見した場合は自己免疫疾患の可能性を念頭に置いて専門医への相談を検討すべきでしょう。

「円形脱毛症(Alopecia Areata:AA)は、自身の免疫が誤って成長期毛の毛球部に発現する自己抗原を攻撃し、脱毛を引き起こす自己免疫疾患の一つです。」

引用元:杏林大学医学部「難治性円形脱毛症の治療抵抗性に関わるT細胞の特性を解明」

円形脱毛症の原因はストレス・遺伝・アトピー素因など複数ある

円形脱毛症の原因は単一ではなく複数の要因が複合的に関与しています。

順天堂大学の研究グループは世界で初めて円形脱毛症の原因遺伝子としてCCHCR1を同定し、遺伝的素因の存在を明らかにしました。

ストレスは発症の引き金となることがありますが、ストレスだけで発症するという科学的根拠は確立されていません。

円形脱毛症の原因として考えられる主な要因を以下に整理しました。

  • 自己免疫異常:免疫細胞が毛包を攻撃する
  • 遺伝的素因:CCHCR1遺伝子の変異が関与
  • アトピー素因:気管支喘息やアトピー性皮膚炎との合併が多い
  • 精神的ストレス:発症の誘因となる可能性がある
  • 甲状腺疾患:橋本病などの自己免疫疾患との合併

東京医科大学病院の報告では、円形脱毛症患者にはアトピー疾患を合併することがよく知られていると述べられています。

遺伝的素因を持つ人が環境因子の影響を受けて発症するという複合的なメカニズムが考えられています。

「順天堂大学大学院医学研究科の共同研究グループは、円形脱毛症の原因遺伝子の1つとしてCCHCR1を世界で初めて同定しました。」

引用元:順天堂大学プレスリリース「世界初、円形脱毛症の原因遺伝子を同定」

単発型から全身脱毛症(汎発型)まで重症度で7つのタイプに分類される

円形脱毛症は重症度によって7つのタイプに分類されます。

東京医科大学病院の分類によると、単発型、少数多発型、多発型、蛇行型、全頭型、汎発型、急速進行型に分けられます。

単発型は小型の脱毛斑が1個のみで多くは自然治癒が期待できます。

全身脱毛症とも呼ばれる汎発型は頭髪だけでなく眉毛や睫毛を含む全身の体毛が抜ける最重症型です。

円形脱毛症のタイプ別特徴を以下にまとめました。

  • 単発型:脱毛斑1個のみ、自然治癒しやすい
  • 少数多発型:複数の脱毛斑、脱毛面積25%未満
  • 多発型:複数の脱毛斑、脱毛面積25%以上
  • 蛇行型:生え際から帯状に拡大、難治性
  • 全頭型:頭部全体の脱毛、長期固定
  • 汎発型:全身の毛が脱毛、最重症
  • 急速進行型:急激に全頭が脱毛するタイプ

蛇行型や全頭型、汎発型は難治性であり、治療期間が長期化する傾向にあります。

重症度に応じた治療法の選択が回復への重要なポイントとなるでしょう。

「単発型:小型の脱毛斑が1個のみのもの。多くは放置しておいても自然治癒します。汎発型:脱毛の範囲が全頭以外に眉毛、睫毛を含めた全身に拡大し、長期間症状が固定しているもの。」

引用元:東京医科大学病院 皮膚科「脱毛症外来」

円形脱毛症の治療法はステロイド外用・局所免疫療法・JAK阻害薬が中心

円形脱毛症の治療法は症状の重症度に応じて選択されます。

軽症例ではステロイド外用薬が第一選択となり、炎症を抑えて毛包への免疫攻撃を軽減させます。

中等症以上では局所免疫療法やステロイド局所注射が用いられることがあります。

2022年以降は重症例に対してJAK阻害薬が保険適用となり、治療の選択肢が広がりました。

東北大学医療系メディアによると、JAK阻害薬は治療が難しかった重症例でも発毛が期待できる新しい選択肢として注目されています。

治療効果には個人差があり、同じ治療法でも反応が異なるため専門医との相談が不可欠です。

円形脱毛症は再発を繰り返すことがあるため、長期的な経過観察が必要となるでしょう。

「JAK阻害薬は、3年前に円形脱毛症に対して保険適用となりました。治療が難しかった重症例でも発毛が期待できる新しい選択肢として注目されています。」

引用元:東北大学医療系メディア〈LIFE〉「脱毛症」

軽症の10円はげは自然治癒で半年〜1年以内に回復する可能性が高い

軽症の10円はげは治療を行わなくても自然に回復するケースが多いです。

東京医科大学病院の解説では、単発型の円形脱毛症は放置しておいても自然治癒すると明記されています。

J-Stageに掲載された研究でも、プラセボ群で改善がみられた症例は自然治癒例であると考察されています。

単発型の場合、発症から半年〜1年程度で毛髪が再生し始めることが一般的です。

自然治癒を待つ間もストレス管理や規則正しい生活を心がけることが回復を促進する可能性があります。

脱毛斑が拡大したり新たな脱毛斑が出現したりする場合は早めに皮膚科を受診すべきでしょう。

「単発型:小型の脱毛斑が1個のみのもの。多くは放置しておいても自然治癒します。」

引用元:東京医科大学病院 皮膚科「脱毛症外来」

全身脱毛症など重症例はJAK阻害薬(バリシチニブ)が保険適用で使用可能

全身脱毛症などの重症例に対してはJAK阻害薬が新たな治療選択肢として注目されています。

JAK阻害薬は免疫細胞のシグナル伝達を阻害し、毛包への攻撃を抑制する作用があります。

東京医科大学病院によると、脱毛面積が50%を超える場合にはJAK阻害薬内服が推奨されています。

バリシチニブ(オルミエント)は2022年6月に円形脱毛症に対して保険適用となりました。

従来の治療法では効果が得られなかった全頭型や汎発型の患者にも改善が期待できます。

JAK阻害薬は感染症リスクの上昇などの副作用があるため、専門医の管理下で使用することが必須といえるでしょう。

「50%を超える範囲の場合にはJAK阻害薬内服。全頭型、汎発型でも細かい軟毛が生えてきた時は局所免疫療法を試すチャンスです。」

引用元:東京医科大学病院 皮膚科「脱毛症外来」

全身脱毛症(汎発型)は難病指定ではないが治療期間が長期化しやすい

全身脱毛症(汎発型)は日本の指定難病リストには含まれていませんが、難治性の疾患です。

PubMedに掲載された系統的レビューによると、全頭型・汎発型の長期的な完全回復率はわずか8.5%と報告されています。

順天堂大学医院では難治性汎発型円形脱毛症に対して少量ステロイド内服と全身PUVA療法を併用した集中的な治療を行っています。

治療への反応は予測が困難であり、一時的に改善しても再発を繰り返すことがあります。

全身脱毛症の治療には数年単位の長期的な取り組みが必要となるケースが多いです。

JAK阻害薬の登場により治療成績の向上が期待されていますが、根治は依然として困難な状況が続いています。

「According to these studies 8.5% (32/375) of AT and AU patients achieved complete recovery. Response to treatment is often unpredictable.」

引用元:PubMed: Alopecia Totalis and Universalis Long-Term Outcomes: A Review

男性がはげる病気|AGA(男性型脱毛症)とM字はげ・つむじはげの原因

男性がはげる病気として最も一般的なのがAGA(男性型脱毛症)です。

AGAは思春期以降に発症し、額の生え際や頭頂部から徐々に薄毛が進行する特徴があります。

岩手病院によると、AGA患者は全国で1,260万人にのぼると推計されています。

M字はげやつむじはげ、てっぺんハゲはいずれもAGAの典型的な進行パターンとして知られています。

AGAは遺伝的素因と男性ホルモンが深く関与しており、進行性の脱毛症であるため早期治療が効果的です。

20代で若はげに悩む男性も増加傾向にあり、AGAの可能性を考慮した対応が求められるでしょう。

「AGAとは思春期以降に額の生え際や頭頂部の髪が、どちらか一方、または双方から薄くなり、進行していきます。AGA(男性型脱毛症)の人は全国で1,260万人ともいわれています。」

引用元:岩手病院(国立病院機構)「AGA外来」

AGA(男性型脱毛症)は男性ホルモンDHTの作用で進行する遺伝性の脱毛症

AGAは男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)の作用によって進行する脱毛症です。

日本皮膚科学会のガイドラインによると、テストステロンが5α-還元酵素によってDHTに変換され、毛乳頭細胞の受容体に結合することで成長期が短縮されます。

DHTが毛母細胞の増殖を抑制することで毛髪は徐々に細く短くなり、最終的には軟毛化が進行します。

AGAには遺伝的素因が強く関与しており、家族歴がある場合は発症リスクが高まります。

前頭部や頭頂部の毛包がDHTに対して感受性が高いため、これらの部位から薄毛が始まるのが特徴です。

AGAは進行性の疾患であるため、早期発見と早期治療が薄毛の進行を抑制する鍵となるでしょう。

「男性ホルモン感受性毛包の毛乳頭細胞に運ばれたテストステロンはII型5α-還元酵素の働きにより、さらに活性が高いジヒドロテストステロン(DHT)に変換されて受容体に結合する。DHTの結合した男性ホルモン受容体はTGF-βやDKK1などを誘導し毛母細胞の増殖が抑制され成長期が短縮する。」

引用元:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」

M字はげやてっぺんハゲはAGAの典型的な進行パターンである

M字はげやてっぺんハゲはAGAに特徴的な脱毛パターンとして広く認識されています。

国民生活センターの資料によると、AGAは生え際やつむじ付近など特定の範囲の軟毛化が進行する状態と定義されています。

東京医科大学病院ではNorwood-高島分類を用いてAGAの進行度を評価しており、前頭部と頭頂部の脱毛パターンが基準となっています。

M字はげは額の両サイドから後退するタイプで、生え際がM字型になることからこの名称で呼ばれます。

てっぺんハゲは頭頂部から薄毛が広がるタイプで、つむじ周辺の地肌が目立つようになります。

両方のパターンが同時に進行するケースもあり、最終的には前頭部と頭頂部がつながって広範囲の脱毛に至ることがあります。

「壮年性脱毛、若ハゲ、うす毛とも呼ばれます。男性の前頭部と頭頂部の頭髪が徐々にうすくなり、最終的に完全に消失します。」

引用元:東京医科大学病院 皮膚科「脱毛症外来」

20代の若はげもAGAの可能性が高く早期治療が進行抑制の鍵になる

20代で発症する若はげもAGAである可能性が高く、早期の治療介入が重要です。

杏林大学の講演会報告では、内服治療は若齢者ほど有効であり早期診断・早期治療が重要であると述べられています。

PMCに掲載された研究によると、若年発症AGAの有病率は人口によって19.2%〜57.6%と幅があり、決して珍しい状態ではありません。

若年発症AGAは心血管疾患やメタボリックシンドロームとの関連も指摘されており、全身の健康状態を反映している可能性があります。

20代で薄毛の進行に気づいた場合は、AGAの可能性を考慮して皮膚科を受診することが推奨されます。

早期治療により毛髪の軟毛化を抑制し、見た目の印象を維持できる可能性が高まるでしょう。

「内服治療は、若齢者ほど有効であり早期診断・早期治療が重要である。」

引用元:杏林大学「これって病気?抜け毛のしくみとその異常」

AGAの治療法はフィナステリド・デュタステリド内服とミノキシジル外用が推奨

AGAの治療法として日本皮膚科学会のガイドラインで推奨度Aを獲得しているのがフィナステリド内服、デュタステリド内服、ミノキシジル外用の3つです。

フィナステリドは5α-還元酵素II型を阻害してDHTの産生を抑制します。

島根大学医学部によると、フィナステリド1mg内服を1年継続すると約60%で薄毛が改善し、5年間では90%で進行抑制効果が認められています。

デュタステリドはI型とII型の両方を阻害するためフィナステリドより強力な効果が期待できます。

ミノキシジル外用は血流改善作用により毛包への栄養供給を促進し発毛を促します。

主要なAGA治療薬の比較を以下の表にまとめました。

治療薬 作用機序 推奨度 効果発現時期
フィナステリド 5α還元酵素II型阻害 A 3〜6ヶ月
デュタステリド 5α還元酵素I型・II型阻害 A 3〜6ヶ月
ミノキシジル外用5% 血流改善・毛包活性化 A 4〜6ヶ月

フィナステリドとデュタステリドは男性専用の治療薬であり、女性や小児への使用は禁忌となっています。

治療効果を実感するまでには最低でも3〜6ヶ月の継続が必要であり、中断すると再び脱毛が進行するため長期的な服用が前提となります。

「1日1回1mgのフィナステリド内服開始後3〜6ヶ月で効果が現れ、1年後には約60%で薄毛が改善し、5年間内服を続けた90%の患者で進行抑制効果が認められた。」

引用元:島根大学医学部「皮膚科外来にて男性型脱毛症内服治療がスタート」

髪の毛が異常に抜ける男性は脂漏性脱毛症や粃糠性脱毛症の可能性もある

髪の毛が異常に抜ける男性はAGA以外の脱毛症も考慮する必要があります。

PMDAの審査報告書では、頭皮に炎症や痒みがある場合には脂漏性皮膚炎や粃糠性脱毛も考慮に入れる必要があると記載されています。

脂漏性脱毛症は皮脂の過剰分泌とマラセチア菌の増殖によって頭皮に炎症が起こり、脱毛を引き起こす疾患です。

粃糠性脱毛症は細かいフケを伴う脱毛症で、脂漏性脱毛症と同様のメカニズムで発症します。

J-Stageに掲載された論文では、高度の脂漏性皮膚炎やフケ症は脱毛を伴うことがあると報告されています。

頭皮のかゆみやフケが顕著な場合はAGAではなくこれらの脱毛症を疑い、適切な治療を受けることが重要です。

「頭皮に炎症や痒みがある場合には、脂漏性皮膚炎・粃糠性脱毛も考慮に入れる必要がある。」

引用元:PMDA「フィナステリド審査報告書」

女性がはげる病気|FAGA・びまん性脱毛症・分娩後脱毛症の原因と対処法

女性がはげる病気は男性とは異なる特徴を持っています。

日本皮膚科学会のガイドラインによると、女性では頭頂部の比較的広い範囲の頭髪が薄くなるパターンが多く、発症時期も更年期に多発する傾向があります。

FAGA(女性型脱毛症)やびまん性脱毛症は女性特有の脱毛症として知られています。

分娩後脱毛症は出産後に一時的に起こる生理的な脱毛で、多くは自然回復します。

女性の脱毛症は男性ホルモン依存性だけでは説明できないケースも多く、現在では女性型脱毛症という病名が国際的に用いられています。

女性の薄毛は精神的な影響も大きいため、早期に専門医へ相談することが望ましいでしょう。

「女性では男性と異なり、頭頂部の比較的広い範囲の頭髪が薄くなるパターンとして観察される。発症時期についても男性とは異なり、更年期に多発するようになる。」

引用元:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」

女性のはげはFAGA(女性型脱毛症)やびまん性脱毛症で頭頂部が薄くなる

女性のはげはFAGAやびまん性脱毛症として現れ、頭頂部を中心に薄毛が進行します。

PMCに掲載された研究によると、女性型脱毛症は29歳までに12%、49歳までに25%、69歳までに41%の女性に発症すると報告されています。

男性のAGAとは異なり生え際は比較的保たれ、頭頂部から分け目にかけて髪の密度が低下するのが特徴です。

びまん性脱毛症は頭部全体にわたって均一に毛量が減少するタイプで、特定の部位に脱毛斑ができるわけではありません。

女性の脱毛症は加齢、ホルモンバランスの変化、栄養不足、ストレスなど多様な要因が絡み合って発症します。

髪のボリュームが減ったと感じたら早めに皮膚科を受診することが進行を遅らせる鍵となるでしょう。

「Female pattern hair loss (FPHL) is the most common form of alopecia in women… Twelve percent of women first develop clinically detectable FPHL by age 29 years, 25% by age 49 years, 41% by 69 years.」

引用元:PMC: Female pattern hair loss: A clinical, pathophysiologic, and therapeutic review

女性型脱毛症は加齢やホルモンバランスの乱れで更年期以降に多発する

女性型脱毛症は加齢に伴うホルモンバランスの変化によって更年期以降に多発します。

東京薬科大学の博士論文では、女性ホルモンと毛髪の関係性を明らかにするためHRT(ホルモン補充療法)を受ける女性患者の観察的研究が行われています。

PubMedに掲載された2025年の研究によると、閉経に伴うエストロゲンの減少と相対的なアンドロゲンの増加が毛包に直接影響を与えると報告されています。

エストロゲンは毛髪の成長期を維持する作用があるため、その減少によって毛髪密度の低下や毛径の細化が起こります。

更年期に差し掛かった女性で髪のハリやコシが失われてきた場合は、女性型脱毛症の可能性を考慮すべきです。

ホルモン補充療法が脱毛改善に寄与する可能性も研究されています。

「During this time, hormonal changes, including the relative increase in androgens and the cessation of ovarian estrogen production directly impacts the hair follicle.」

引用元:PubMed: Menopause and hair loss in women

びまん性脱毛症は過度なダイエットやストレスで若い女性にも発症する

びまん性脱毛症は過度なダイエットやストレスが原因で若い女性にも発症することがあります。

東京医科大学病院によると、休止期脱毛症は女性に多く、出産、過度のダイエット、高熱などが原因となると説明されています。

急激な体重減少は毛髪の成長に必要な栄養素の不足を招き、多くの毛髪が一斉に休止期へ移行します。

杏林大学の講演会報告では、亜鉛欠乏や鉄欠乏などによる休止期脱毛症も報告されています。

NCBIのStatPearlsによると、身体が強いストレス下にあると成長期の毛髪の約70%が休止期へ移行する可能性があります。

若い女性でも無理なダイエットや極度のストレスによって脱毛が起こりうるため、バランスの取れた食事と適切なストレス管理が予防につながるでしょう。

「休止期脱毛症:一時的に頭部全体の脱毛量が増える。女性に多い。出産、過度のダイエット、高熱などが原因となります。」

引用元:東京医科大学病院 皮膚科「脱毛症外来」

分娩後脱毛症は出産後のエストロゲン低下による一時的な抜け毛で自然回復する

分娩後脱毛症は出産後に起こる一時的な脱毛で、多くの場合自然に回復します。

妊娠中はエストロゲンの影響で成長期毛の割合が高まり、髪がより豊富に見えます。

分娩後はエストロゲンが急激に低下し、多くの毛髪が一斉に休止期へ移行するため大量脱毛が起こります。

産後脱毛は通常、出産後2〜3ヶ月頃から始まり、産後6ヶ月〜1年で自然回復するケースがほとんどです。

NCBIのStatPearlsでも、急性の休止期脱毛症は自己限定的な状態であり産後のホルモン変化が一般的な誘因であると記載されています。

産後の抜け毛に不安を感じる女性は多いですが、生理的な現象であるため過度な心配は不要です。

栄養バランスの良い食事と十分な休息を心がけることが回復を促進するポイントとなるでしょう。

「Acute telogen effluvium is a self-limited condition. Common triggering events include postpartum hormonal changes (particularly a decrease in estrogen).」

引用元:StatPearls: Telogen Effluvium

牽引性脱毛症はポニーテールなど髪を引っ張るヘアスタイルが原因で生え際が後退する

牽引性脱毛症は髪を強く引っ張るヘアスタイルを長期間続けることで発症する脱毛症です。

NCBIのStatPearlsによると、牽引性脱毛症は毛根に継続的な引っ張りが加わることで時間とともに脱毛が起こり、初期は非瘢痕性で可逆的ですが慢性化すると永久的な瘢痕化に至ります。

ポニーテール、編み込み、エクステンション、コーンロウなどのヘアスタイルが原因となることが多いです。

生え際や側頭部の毛髪が特に影響を受けやすく、徐々に後退していく傾向があります。

J-Stageに掲載された論文でも、頭皮への牽引性圧迫が血行不良を惹起することが指摘されています。

早期に原因となるヘアスタイルを中止すれば回復が見込めますが、瘢痕化が進行した場合は自毛植毛以外の回復手段がなくなるため注意が必要です。

「Traction alopecia is a disorder that results from continuous pulling on the hair roots, leading to hair loss over time. The condition follows a biphasic pattern, with early stages being nonscarring and reversible, while chronic cases lead to permanent scarring.」

引用元:StatPearls: Traction Alopecia

髪が抜ける内臓の病気|甲状腺疾患・膠原病・鉄欠乏性貧血と抜け毛の関係

髪が抜ける症状は内臓の病気のサインである可能性があります。

東京医科大学病院では全身性疾患に伴う脱毛として慢性甲状腺炎、鉄欠乏性貧血、膠原病などが挙げられています。

甲状腺疾患では甲状腺ホルモンの異常がヘアサイクルに影響を与え、びまん性の脱毛を引き起こします。

膠原病の代表格である全身性エリテマトーデスでは自己免疫反応によって毛包が攻撃されることがあります。

鉄欠乏性貧血は毛母細胞への栄養供給不足から抜け毛が増加する要因となります。

内臓の病気が原因の脱毛は原疾患の治療が最優先となるため、抜け毛以外の全身症状がある場合は内科的な検査を受けることが重要でしょう。

「全身性疾患に伴う脱毛:慢性甲状腺炎、鉄欠乏性貧血、膠原病など」

引用元:東京医科大学病院 皮膚科「脱毛症外来」

甲状腺の病気(橋本病・バセドウ病)は甲状腺ホルモン異常で脱毛を引き起こす

甲状腺の病気は甲状腺ホルモンの過不足によって脱毛を引き起こすことがあります。

長崎甲状腺クリニック大阪によると、甲状腺ホルモンは毛包に直接作用して髪の成長サイクルを調節する重要な役割を果たしています。

橋本病に代表される甲状腺機能低下症では髪の成長サイクルが休止し、新しい毛が生えにくくなります。

バセドウ病などの甲状腺機能亢進症では代謝が異常に活発になり、毛髪が十分に成長する前に抜け落ちてしまいます。

東京医科大学病院の報告では、円形脱毛症患者に橋本病などの甲状腺疾患が合併することが知られています。

倦怠感、体重変化、寒がりまたは暑がりなどの症状とともに抜け毛が増えた場合は甲状腺疾患を疑い、内科を受診することが推奨されるでしょう。

「甲状腺ホルモンは、髪の成長サイクルの調節に重要な役割を果たします。甲状腺ホルモンは毛包に直接作用し、髪の成長サイクルを回して毛根の発育を促します。」

引用元:長崎甲状腺クリニック大阪「甲状腺と皮膚・脱毛」

甲状腺機能低下症では髪が乾燥し眉毛の外側が抜けるのが特徴的な症状

甲状腺機能低下症による脱毛には特徴的な症状パターンがあります。

長崎甲状腺クリニック大阪の解説では、甲状腺機能低下症は表皮および毛包など皮膚付属器の細胞分裂を妨げると説明されています。

PMCに掲載された論文によると、甲状腺機能低下症では髪が粗く乾燥してもろくなり、眉毛の外側3分の1が脱落することが観察されると報告されています。

毛髪の成長期が維持できなくなるため、長く太い毛が抜ける休止期脱毛症として現れます。

むくみ、便秘、寒がり、倦怠感などの全身症状を伴うことが多いのも特徴です。

眉毛の外側が薄くなっていることに気づいた場合は甲状腺機能低下症を疑い、血液検査でTSHやFT4の値を確認することが診断への近道となります。

「Hypothyroidism causes slow-growing, coarse, dry, brittle hair. Loss of the outer third of the eyebrow and/or diffuse alopecia may also be observed.」

引用元:PMC: Impact of Thyroid Dysfunction on Hair Disorders

甲状腺と抜け毛の関係はホルモン補充療法で改善が期待できる

甲状腺疾患による抜け毛はホルモン補充療法によって改善が期待できます。

長崎甲状腺クリニック大阪によると、甲状腺ホルモン剤の投与で甲状腺機能が回復すれば大多数の休止期脱毛症は数ヶ月以内に改善すると報告されています。

PMCの論文でも、甲状腺機能低下症に対するホルモン補充療法は脱毛を止める効果があると記載されています。

ただし長期間にわたって毛包の萎縮が進行した場合は回復が困難になることもあります。

甲状腺機能亢進症の場合も甲状腺機能が正常化すれば毛髪障害は数ヶ月以内に改善する傾向にあります。

甲状腺疾患が疑われる場合は早期に治療を開始することで脱毛の進行を最小限に抑えられる可能性が高まるでしょう。

「甲状腺ホルモン剤(レボチロキシン:チラーヂンS)投与で甲状腺機能が回復すれば、大多数の休止期脱毛症は数ヶ月以内に改善します。」

引用元:長崎甲状腺クリニック大阪「甲状腺と皮膚・脱毛」

膠原病(全身性エリテマトーデス)は自己免疫反応でびまん性脱毛を発症する

膠原病の代表的疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)はびまん性脱毛を引き起こすことがあります。

日本内科学会誌によると、びまん性脱毛はSLEの活動性が高い時に起こり、前頭部から頭頂部、側頭部の毛髪が疎になると報告されています。

SLEによる脱毛は病勢がコントロールされると毛髪が再生する可逆性の脱毛です。

順天堂大学医院では、頭部にできた円板状エリテマトーデスの脱毛は治りにくいため早めの治療が必要であると注意を促しています。

地肌に変化が見られなくてもびまん性脱毛を主訴に受診した場合はSLEのスクリーニング検査を行うべきであると専門医は指摘しています。

関節痛、発熱、蝶型紅斑などの症状とともに脱毛がある場合は膠原病を疑い、専門医への相談が必要でしょう。

「瀰漫性脱毛は全身性エリテマトーデス(SLE)に見られ、前頭部から頭頂部、側頭部の毛髪が疎となる。瀰漫性脱毛はSLEの活動性が高い時に起こり、病勢がコントロールされると毛髪は再生する。」

引用元:日本内科学会誌「膠原病・リウマチ性疾患診療」

鉄欠乏性貧血は毛母細胞への栄養不足で抜け毛が増える女性に多い疾患

鉄欠乏性貧血は毛母細胞への栄養供給不足によって抜け毛を増加させる疾患です。

慶應義塾大学病院によると、亜鉛や鉄などの毛髪を作るのに重要なミネラルが欠乏すると脱毛症状が生じる場合があると説明されています。

PMCに掲載された論文では、毛包マトリックス細胞は体内で最も急速に分裂する細胞であり、わずかな鉄の供給低下にも敏感に反応すると報告されています。

注目すべき点として、ヘモグロビン値が正常でもフェリチン値が低ければ脱毛が起こりうることが指摘されています。

毛髪成長に適したフェリチン値は40〜60 ng/mL以上が必要とされ、一般的な貧血診断基準よりも高い水準が求められます。

月経過多や偏食のある女性は鉄欠乏に陥りやすいため、抜け毛が増えた場合は血液検査でフェリチン値を確認することが推奨されるでしょう。

「Hair follicle matrix cells are the most rapidly dividing cells and are extremely sensitive to even a minor decrease in iron availability.」

引用元:PMC: Diagnosis and treatment of female alopecia: Focusing on iron deficiency

腎臓と抜け毛の関係は腎機能低下による栄養代謝異常が影響している可能性がある

腎臓と抜け毛の関係は腎機能低下に伴う複合的な要因によって説明されます。

PMCに掲載された症例報告によると、透析患者の脱毛は栄養不良、透析中のヘパリン使用による薬剤性脱毛、重篤な疾患への反応としての休止期脱毛症と関連している可能性があります。

腎不全患者では尿毒素の蓄積による代謝異常やタンパク質、鉄、亜鉛などの栄養素の欠乏が脱毛の原因となることがあります。

また慢性腎臓病患者ではホルモン異常を合併することも多く、これが脱毛に影響を与えるケースもあります。

腎臓が直接毛包に作用するというよりは、腎機能低下に伴う全身状態の悪化が間接的に脱毛を引き起こすメカニズムが考えられています。

腎臓病を患っている方で抜け毛が気になる場合は担当医に相談し、栄養状態やホルモンバランスの評価を受けることが適切でしょう。

「Hair loss is a common complaint of women receiving renal replacement therapy. Differential diagnoses include malnutrition, adverse effects of drugs, endocrine, inflammatory or autoimmune disorders.」

引用元:PMC: New onset of alopecia in a young woman with end-stage renal disease

感染症や薬剤が原因ではげる病気|梅毒・コロナ後遺症・薬剤性脱毛症を解説

感染症や薬剤が原因ではげる病気も存在します。

梅毒は第2期に虫食い状の脱毛斑が現れる感染症として知られています。

新型コロナウイルス感染症の後遺症として脱毛が報告されており、厚生労働省も代表的な罹患後症状の一つに脱毛を挙げています。

抗がん剤をはじめとする各種薬剤も脱毛を引き起こす可能性があります。

東京医科大学病院によると、薬剤性脱毛症は抗がん薬だけでなく一般的な内服薬でも生じることがあると説明されています。

感染症や薬剤が原因の脱毛は原因の除去や治療によって回復が見込めるケースが多いです。

急に髪の毛が抜け始めた場合は感染症や服用中の薬剤との関連も考慮すべきでしょう。

「薬剤性脱毛症:抗がん薬だけでなく一般的な内服薬でも生じることがある」

引用元:東京医科大学病院 皮膚科「脱毛症外来」

梅毒は第2期に虫食い状の脱毛斑が現れる感染症で早期治療で回復可能

梅毒は第2期において特徴的な脱毛症状を呈することがある感染症です。

日本内科学会誌によると、梅毒の皮膚病変では紅斑、丘疹、脱毛斑などがみられ、多発するのが一般的であると報告されています。

梅毒による脱毛は虫食い状と呼ばれる不規則な小型多発性の脱毛斑として現れることが特徴です。

CiNiiに掲載された症例報告では、頭部のびまん性脱毛を契機に梅毒と診断された例が報告されています。

梅毒は「the great imitator(偽装の達人)」という異名を持ち、他の脱毛症と間違えられることがしばしばあります。

梅毒が疑われる場合はRPRと梅毒トレポネーマ抗体の血液検査で診断が可能であり、適切な抗菌薬治療によって脱毛は改善します。

性感染症リスクのある方で脱毛が見られた場合は梅毒の可能性も考慮すべきでしょう。

「皮膚病変では、紅斑、丘疹、脱毛斑ならびに肉芽腫等がみられ、多発するのが一般的であるが、単発のこともある。」

引用元:日本内科学会誌「梅毒診療ガイド」

急に髪の毛が抜けるコロナ後遺症は休止期脱毛症として発症し数ヶ月で回復する

新型コロナウイルス感染症の後遺症として急に髪の毛が抜ける症状が報告されています。

厚生労働省によると、脱毛は代表的な罹患後症状の一つとして挙げられています。

PMCに掲載された系統的レビューでは、COVID-19関連の脱毛の74.1%が休止期脱毛症であり、診断後平均2.0ヶ月で発症し、95%が平均5.0ヶ月で回復すると報告されています。

厚生労働省の診療の手引きでは脱毛の持続期間は平均76日であったと記載されています。

コロナ感染による身体的ストレスが成長期の毛髪を一斉に休止期へ移行させることがメカニズムと考えられています。

COVID-19罹患後に急な抜け毛に気づいた場合は一時的な後遺症である可能性が高く、多くは時間の経過とともに自然回復が期待できるでしょう。

「代表的な罹患後症状は、疲労感・倦怠感、関節痛、筋肉痛、咳、喀痰、息切れ、胸痛、脱毛、記憶障害、集中力低下…などがあります。」

引用元:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の罹患後症状Q&A」

薬剤性脱毛症は抗がん剤や内服薬の副作用で成長期・休止期脱毛が起こる

薬剤性脱毛症は様々な薬剤の副作用として発症する脱毛症です。

PubMedに掲載された論文によると、薬剤は成長期脱毛症と休止期脱毛症の2つの異なるメカニズムで脱毛を引き起こすと報告されています。

成長期脱毛症は抗がん剤が急速に分裂する毛母細胞を直接障害することで起こり、投与後数日〜数週間で急激な脱毛が発生します。

休止期脱毛症は抗凝固薬、レチノイド、インターフェロン、高脂血症治療薬などによって毛包が早期に休止期へ移行することで起こります。

薬剤性脱毛症の特徴として、原因薬剤の中止後は通常回復が見込めることが挙げられます。

服用開始後に抜け毛が増えた場合は薬剤との関連を疑い、担当医に相談することが重要でしょう。

「Drugs may affect anagen follicles through 2 main different modalities: (i) by inducing an abrupt cessation of mitotic activity in rapidly dividing hair matrix cells (anagen effluvium) or (ii) by precipitating the follicles into premature rest (telogen effluvium).」

引用元:PubMed: Drug-induced hair loss and hair growth

はげる病気の治療法と抜け毛が増えたときの対処法|医療機関の受診目安

はげる病気の治療法は原因によって大きく異なります。

東北大学医療系メディアによると、脱毛症は適切な診断とそれに基づいた治療により改善が期待できます。

円形脱毛症やAGAは皮膚科での治療が中心となりますが、甲状腺疾患や膠原病が原因の場合は内科的治療が優先されます。

抜け毛が増えたときは自己判断で放置せず、早めに専門医を受診することが回復への近道となります。

脱毛症は命に関わる疾患ではないものの、精神的な負担や生活の質への影響は大きいです。

気付いたときに専門医を受診し、自分に合った対策を始めることが大切でしょう。

「脱毛症は適切な診断とそれに基づいた治療により改善が期待できます。気付いたときに早めに専門医を受診し、自分に合った対策を始めることが大切です。」

引用元:東北大学医療系メディア〈LIFE〉「脱毛症」

はげや抜け毛の治療は皮膚科・脱毛症外来・内科など原因に応じた診療科を受診する

はげや抜け毛の治療は原因に応じて適切な診療科を選択する必要があります。

杏林大学病院によると、脱毛症は皮膚の表面から観察しにくいため専門的な方法を用いないと診断にたどりつけない場合があると説明されています。

東京医科大学病院の脱毛症外来では脱毛症に詳しい複数の医師が担当し、血液検査や局所免疫療法の感作などを実施しています。

円形脱毛症やAGAは皮膚科が専門であり、甲状腺疾患や膠原病が疑われる場合は内科への紹介が行われます。

抜け毛の根元の形状を調べたり特殊な拡大鏡で毛や毛穴の状態を観察したりすることで診断精度が高まります。

症状だけでなく全身状態も考慮して受診科を決めることが適切な治療への第一歩となるでしょう。

「脱毛症は、湿疹やかぶれなどと違ってその病気の状態を皮膚の表面から観察しにくいので、単に医学知識だけでなく、かなり専門的な方法を用いないと診断にたどりつけない場合もあります。」

引用元:杏林大学病院「これって病気?気になる抜け毛」

円形脱毛症やAGAは皮膚科専門医で診断と治療法の選択が可能

円形脱毛症やAGAの診断と治療は皮膚科専門医が担当します。

東京医科大学病院では脱毛症外来を設置し、専門の医師が診療にあたっています。

AGAの治療ではフィナステリドやデュタステリドの内服、ミノキシジル外用などの選択肢から患者の状態に応じた治療法が提案されます。

円形脱毛症ではステロイド外用や局所注射、局所免疫療法、重症例にはJAK阻害薬などが用いられます。

皮膚科ではダーモスコピーという拡大鏡を用いた診察や、必要に応じて皮膚生検による病理診断も実施されます。

脱毛の原因を正確に特定することで効果的な治療法の選択が可能となり、回復への期間を短縮できる可能性が高まります。

「当院皮膚科脱毛症外来は脱毛症に詳しい5名の医師が各曜日を担当しています。」

引用元:東京医科大学病院 皮膚科「脱毛症外来」

内臓の病気が原因の抜け毛は血液検査で甲状腺や貧血を調べる

内臓の病気が原因の抜け毛を診断するためには血液検査が不可欠です。

日本皮膚科学会のガイドラインでは、女性型脱毛症において膠原病や慢性甲状腺炎などの全身性疾患に伴う脱毛や貧血を除外することが大切であると記載されています。

血液検査で確認すべき主な項目を以下に整理しました。

  • TSH・FT4・FT3:甲状腺機能の評価
  • 血清フェリチン・ヘモグロビン:鉄欠乏性貧血の診断
  • 抗核抗体・抗ds-DNA抗体:膠原病のスクリーニング
  • RPR・梅毒トレポネーマ抗体:梅毒感染の有無
  • 亜鉛・ビタミンD:微量元素欠乏の確認

血液検査の結果に異常が見られた場合は内科や婦人科など適切な診療科への紹介が行われます。

抜け毛以外に倦怠感や体重変化などの全身症状がある場合は内科的な原因を積極的に疑うべきでしょう。

「女性型脱毛症においては、慢性休止期脱毛、膠原病や慢性甲状腺炎などの全身性疾患に伴う脱毛、貧血、急激なダイエット…などを除外することが大切である。」

引用元:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」

生活習慣の改善は抜け毛予防に効果的で睡眠・食事・ストレス管理が重要

生活習慣の改善は抜け毛予防に効果的なアプローチです。

慶應義塾大学病院によると、規則正しい生活を心がけ、睡眠不足を避け、鉄や亜鉛などのミネラルをバランスよく摂ることが重要であると説明されています。

東京大学医科学研究所の研究では、加齢マウスに高脂肪食を与えると1ヶ月以内に脱毛が生じることが明らかになっています。

生活習慣の改善で心がけるべきポイントを以下にまとめました。

  • 十分な睡眠:成長ホルモンの分泌を促す
  • バランスの良い食事:鉄・亜鉛・タンパク質を意識的に摂取
  • ストレス管理:過度なストレスは休止期脱毛を誘発する可能性がある
  • 禁煙:喫煙は頭皮の血流を悪化させる
  • 適度な運動:全身の血流改善に寄与する

ストレスだけで脱毛になるという科学的な証拠は確立されていませんが、脱毛は全身の状態と関連を持っています。

健康的な生活習慣を維持することが頭髪の健康にも良い影響を与えるでしょう。

「疲れをためないよう、できるだけ規則正しい生活を心がけるとよいでしょう。また、睡眠不足などは避け、喫煙、アルコールも適量としてください。」

引用元:慶應義塾大学病院 KOMPAS「脱毛症」

ハゲは病気なのか?治療が必要なケースと経過観察で良いケースの違い

ハゲは病気なのかという疑問に対しては、脱毛の種類や重症度によって判断が分かれます。

単発型の円形脱毛症や分娩後脱毛症は自然回復が見込めるため経過観察で対応可能なケースが多いです。

一方でAGAは進行性の疾患であり、治療を行わなければ薄毛が進行し続けます。

治療が必要なケースと経過観察で良いケースの違いを以下の表にまとめました。

状態 治療の必要性 理由
単発型円形脱毛症 経過観察可 自然治癒率が高い
分娩後脱毛症 経過観察可 6ヶ月〜1年で自然回復
多発型・全頭型円形脱毛症 治療必要 拡大・慢性化のリスク
AGA 早期治療推奨 進行性で治療なしでは悪化
内臓疾患による脱毛 原疾患治療必要 根本原因の解決が優先

慶應義塾大学病院によると、ストレスだけで脱毛になるという科学的な証拠は確立されていませんが、脱毛は全身の状態と関連を持っています。

抜け毛が気になる場合は自己判断せず、専門医に相談して治療の必要性を判断してもらうことが賢明でしょう。

「俗に言われるように『ストレス』だけで脱毛になるという科学的な証拠は実は確立していません。しかし、今まで説明したように脱毛は全身の状態と関連を持っています。」

引用元:慶應義塾大学病院 KOMPAS「脱毛症」

はげになる病気に関するよくある質問|男性・女性・子供の脱毛症Q&A

はげになる病気に関しては様々な疑問が寄せられます。

急に禿げた場合の受診先や子供の脱毛症、全身脱毛症の予後など、患者や家族が知りたい情報は多岐にわたります。

脱毛症は年齢や性別を問わず発症する可能性があり、適切な知識を持つことが早期発見・早期治療につながります。

ストレスと脱毛の関係についても科学的な視点からの理解が重要です。

以下では患者からよく寄せられる質問に対して医学的根拠に基づいた回答を整理しました。

脱毛に関する正しい知識を身につけることで不安を軽減し、適切な対処につなげることができるでしょう。

急に禿げた場合は何科を受診すべき?皮膚科と内科の使い分けを解説急に禿げた場合はまず皮膚科を受診することが基本です。

東京医科大学病院では、一般外来の初診を受診して血液検査などを受けてから脱毛症外来を予約する流れになっています。

円形脱毛症やAGAなどの脱毛症であれば皮膚科で診断と治療が完結します。

ただし全身症状を伴う場合は内科的な原因も考慮する必要があります。

受診科の目安を以下に整理しました。

  • 円形の脱毛斑がある:皮膚科
  • 生え際やつむじが薄くなってきた:皮膚科
  • 倦怠感やむくみ、体重変化を伴う:内科(甲状腺)
  • 関節痛や発熱、皮膚の紅斑を伴う:内科(膠原病・リウマチ科)
  • 月経異常を伴う女性:婦人科と皮膚科

皮膚科で血液検査を実施し、甲状腺疾患や貧血などが発見された場合は適切な診療科へ紹介されます。

急な脱毛に気づいたら早めに受診することで原因の特定と治療開始が迅速に行えるでしょう。

「まず一般外来の初診を受診して、一般的な説明、血液検査…を受けてから、次回に脱毛症外来を予約してください。」

引用元:東京医科大学病院 皮膚科「脱毛症外来」

子供がハゲる病気は円形脱毛症やトリコチロマニア(抜毛症)が考えられる子供がハゲる病気として最も多いのは円形脱毛症とトリコチロマニア(抜毛症)です。

PubMedに掲載された研究によると、小児の脱毛症の90〜95%は円形脱毛症、休止期脱毛症、白癬(頭部白癬)、トリコチロマニアの4つが原因であると報告されています。

円形脱毛症は自己免疫疾患であり、子供でも発症し生涯発症率は1〜2%です。

トリコチロマニアは精神的衝動により自分の毛を抜いてしまう疾患で、学童期の女子に好発します。

東京医科大学病院でもトリコチロマニアは学童女児に多いと記載されています。

北海道教育大学の調査では、トリコチロマニアの実態把握が行われており、何らかの精神的衝動により毛を引き抜く行為を反復・強迫的に行ってしまう疾患と説明されています。

子供の脱毛を発見した場合は小児皮膚科を受診し、原因の特定と適切な対応を行うことが重要でしょう。

「90% to 95% of the cases are caused by four major entities: alopecia areata, telogen effluvium, tinea capitis, and trichotillomania.」

引用元:PubMed: Alopecia in children: the most common causes

全身脱毛症は治る?芸能人の回復事例や治療経過について解説全身脱毛症(汎発型円形脱毛症)の完全回復率は決して高くありませんが、治療法の進歩により改善の可能性は広がっています。

PubMedに掲載された系統的レビューによると、全頭型・汎発型の長期的な完全回復率は約8.5%と報告されていますが、部分的な毛髪再生を経験する患者はより多く存在します。

東北大学医療系メディアによると、JAK阻害薬は治療が難しかった重症例でも発毛が期待できる新しい選択肢として注目されています。

東京医科大学病院では全頭型、汎発型でも細かい軟毛が生えてきた時は局所免疫療法を試すチャンスであると述べられています。

芸能人の回復事例も報告されていますが、治療への反応には個人差があり予測が困難です。

全身脱毛症と診断された場合は専門医と相談しながら長期的な視点で治療に取り組むことが重要でしょう。

「According to these studies 8.5% (32/375) of AT and AU patients achieved complete recovery. A larger proportion of patients will obtain at least transient recovery periods of partial or total hair regrowth.」

引用元:PubMed: Alopecia Totalis and Universalis Long-Term Outcomes: A Review

ストレスで髪が抜ける病気は休止期脱毛症や円形脱毛症が該当するストレスで髪が抜ける病気としては休止期脱毛症や円形脱毛症が該当します。

慶應義塾大学病院によると、ストレスだけで脱毛になるという科学的な証拠は確立されていないものの、脱毛は全身の状態と関連を持っているとされています。

日本臨床皮膚科医会では、円形脱毛症はストレスを契機にして脱毛巣ができる病気であると説明されています。

休止期脱毛症は身体的・精神的な強いストレスによって多くの毛髪が一斉に休止期へ移行することで発症します。

ストレスが直接的な原因というよりは、ストレスが引き金となって免疫異常やヘアサイクルの乱れを誘発するメカニズムが考えられています。

ストレスフルな出来事の後に抜け毛が増えた場合は円形脱毛症や休止期脱毛症を疑い、皮膚科を受診することが適切な対応でしょう。

「円形脱毛症はストレスを契機にして脱毛巣ができる病気で、年齢・性別にかかわりなく再発を繰り返します。」

引用元:日本臨床皮膚科医会「円形脱毛症」

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