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産後の抜け毛と母乳育児の関係とは?授乳中の原因・対策・髪型まで徹底解説

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産後の抜け毛に悩むママの8割以上が、出産後3〜6ヶ月をピークに大量の脱毛を経験します。

母乳育児中はエストロゲンの分泌量が産前の10分の1以下まで低下するため、ヘアサイクルが乱れて休止期の髪が一気に抜け落ちる状態に。

産後の抜け毛と母乳の関係は、授乳によるホルモンバランスの変化が主な要因です。

鉄分・亜鉛・タンパク質といった栄養素の不足も抜け毛を悪化させる点は見落としがちです。

多くの場合、産後12〜18か月かけて自然に回復しますが、1日の睡眠時間が5時間を下回るような状況では改善が遅れることも。

目次

産後の抜け毛と母乳育児の関係とは?授乳中に髪が抜ける原因を解説

産後の抜け毛に悩むママは多く、授乳中だと母乳との関連を疑いたくなるものです。

しかし、産後の抜け毛の主な原因は女性ホルモンの急激な変動にあり、母乳育児の有無にかかわらず起こり得る現象といえます。

母乳で赤ちゃんを育てていると、栄養やエネルギーが優先的に乳汁の生成に使われるため、髪への栄養供給が不足しやすい側面はあるものの、抜け毛の根本的な引き金はホルモンバランスの変化にあるといえるでしょう。

ここでは、産後脱毛症のメカニズムから、母乳育児との関係、そして抜け毛を悪化させる要因まで、医学的なエビデンスをもとに詳しく解説します。

産後脱毛症の原因は女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少にある

産後に起こる抜け毛の最大の原因は、妊娠中に増加していた女性ホルモン(エストロゲン)が出産を機に急激に減少することです。

日本女性心身医学会雑誌に掲載された廣瀬ら(2025)の総説論文では、産後脱毛は休止期脱毛に分類され、妊娠中に起こる毛周期の変化の結果であると報告されています。

妊娠中はエストロゲンの働きにより、本来抜けるはずの髪が成長期にとどまり続けます。

出産後にホルモンが一気に低下すると、成長期にとどまっていた大量の毛髪が一斉に休止期へ移行し、まとまった抜け毛として現れるわけです。

ヘアサイクルの乱れは一時的なものであり、ホルモンバランスが回復すれば髪の成長も正常化に向かいます。

産後脱毛は分娩後2〜4カ月頃から始まり,6カ月から1年程度続く脱毛症とされる.妊娠中に起こる毛周期の変化の結果と考えられており,休止期脱毛に分類される.つまり,妊娠中は成長期が増加し,分娩後にこれらが休止期に移行することによって,脱毛量が増加すると考えられている

引用元:廣瀬明日香(2025)産後脱毛の実態把握と精神症状へ及ぼす影響 – 日本女性心身医学会雑誌 Vol.30 No.2

妊娠中に増加したエストロゲンが出産後に一気に低下しヘアサイクルが乱れる

妊娠中の女性の体内ではエストロゲンが通常時の数十倍にまで増加し、髪の毛の成長期を延長させる作用を発揮しています。

順天堂大学医学部附属静岡病院の情報誌では、妊娠中は増加したホルモンの影響で本来抜けるはずの髪も成長が促進されると解説されています。

出産後、胎盤が排出されることでエストロゲンの産生源が失われ、ホルモン値は急速に低下します。

この急降下が引き金となり、成長期にとどまっていた毛髪が一斉に休止期へ移行することで、産後2〜4か月頃から目立つ抜け毛が始まるのです。

PubMedに掲載されたGizlentiら(2014)の研究でも、妊娠中に増加した成長期毛髪が分娩後3〜6か月で休止期に戻り大量脱毛を引き起こすことが確認されています。

In pregnancy, increased numbers of hair follicles remain in the anagen phase for longer periods due to hormonal changes and return to the telogen phase within 3-6 months of delivery with a sudden drop in hormone levels. This results in excessive shedding of hair known as post-partum telogen effluvium.

引用元:Gizlenti S, Ekmekci TR(2014)The changes in the hair cycle during gestation and the post-partum period – J Eur Acad Dermatol Venereol

妊娠中は増加したホルモンの影響で、本来抜けるはずの髪も成長が促進されますが、産後になりホルモンバランスが変わって一気に抜けてしまいます

引用元:順天堂大学医学部附属静岡病院 こうのとりクラブ情報誌2021春号

プロゲステロンの減少もホルモンバランスの変化に影響する

産後の抜け毛に関わるホルモンはエストロゲンだけではなく、プロゲステロン(黄体ホルモン)の減少も影響を及ぼします。

妊娠中はプロゲステロンも大量に分泌されて体内環境を維持していますが、出産後に急速に減少し、ホルモンバランス全体の変動幅を大きくする一因となります。

廣瀬ら(2025)の論文では、産後脱毛の原因として産後のエストロジェンやプロゲステロンの低下、プロラクチンの変動、甲状腺ホルモンの低下などが推測されてきたと記されています。

プロゲステロンには毛髪の成長を促す直接的な作用は確認されていないものの、エストロゲンとの相互作用を通じてヘアサイクルの安定に寄与している可能性があります。

産後はこれら複数のホルモンが同時に変動するため、体への影響は複合的なものとなるでしょう。

母乳育児が産後の抜け毛の直接的な原因ではない理由を解説

母乳で赤ちゃんを育てていると抜け毛がひどくなるのではと心配するママは少なくありませんが、母乳育児そのものは産後脱毛の直接的な原因ではありません。

産後のホルモン変化による抜け毛はミルク育児であっても同様に発生するためです。

ただし、長期の授乳がエストロゲンの回復を遅らせることで間接的に脱毛期間に影響する可能性は指摘されています。

授乳の有無にかかわらず産後の抜け毛が起きるメカニズムを正しく理解しておくことが、過度な不安を防ぐうえで重要です。

ミルク育児でもホルモン変化による抜け毛は同様に起こる

母乳育児をしていないママでも産後の抜け毛は発生します。

Gizlentiら(2014)の研究では、産後4か月時点で授乳群と非授乳群の毛髪の成長期率・休止期率を比較した結果、産後1年の時点では両群に統計的な有意差は認められませんでした。

産後1年で差がなくなるという結果は、抜け毛の根本原因が授乳の有無ではなく出産に伴うホルモン変化にあることを裏付けるものです。

ミルク育児でもホルモンバランスの急変は避けられないため、母乳育児だから抜け毛がひどくなるという認識は正確とはいえません。

授乳していることを理由に自分を責める必要は全くないと知っておきましょう。

The mean anagen rate in the 4th post-partum month in the breastfeeding group was significantly higher than that in the non-breastfeeding group(P=0.014), while the mean telogen rate was significantly lower. There was no statistically significant difference between the two groups in terms of the mean anagen and mean telogen ratios in the first post-partum year(P=0.385).

引用元:Gizlenti S, Ekmekci TR(2014) – J Eur Acad Dermatol Venereol

母乳で栄養が赤ちゃんに優先されるため間接的に髪へ影響する

母乳育児が産後の抜け毛に影響する経路として、栄養の優先配分とエストロゲン低下の持続が挙げられます。

廣瀬ら(2023)のPubMed掲載論文では、長期授乳と早産が産後脱毛の独立した予測因子であると報告されています。

産後6か月以内に授乳を終了した群との比較において、授乳期間が6〜12か月の女性の産後脱毛のオッズ比は5.96(95%CI:1.68-21.09)、12か月以上では6.37(95%CI:1.95-20.76)でした。

授乳中はプロラクチンの分泌がエストロゲンの回復を抑制するため、ホルモンの低値が長期間続くことになります。

加えて、母乳の生成には1日約350kcalのエネルギー付加が必要であり、髪の成長に欠かせない栄養素が不足しやすい環境が生まれます。

母乳育児を続けること自体は赤ちゃんにとって大きなメリットがあるため、やめる必要はなく、栄養摂取の工夫で対応する方が賢明です。

Our data show that long-term breastfeeding and preterm labor correlate with postpartum hair loss.

引用元:Hirose A et al.(2023)Investigation of exacerbating factors for postpartum hair loss – Int J Womens Dermatol

授乳中の栄養不足・睡眠不足・ストレスが抜け毛を悪化させる要因

産後のホルモン変化に加え、栄養不足・睡眠不足・ストレスという3つの要因が重なると抜け毛は悪化しやすくなります。

順天堂大学医学部附属静岡病院の産婦人科情報誌でも、育児による睡眠サイクルや食生活の乱れやストレスが抜け毛の原因になると明記されています。

出産後は赤ちゃん中心の生活になるため、ママ自身のケアが後回しになりがちです。

複数の悪化要因を知っておくことで、対策を立てやすくなるでしょう。

産後の抜け毛を悪化させる主な要因を以下に整理しました。

  • 母乳の生成に1日約350kcalの付加エネルギーが必要となり、食事量が不十分だとタンパク質・鉄分・亜鉛など髪に必要な栄養素が不足する
  • 夜間授乳やおむつ替えによる細切れ睡眠で成長ホルモンの分泌が低下し、毛髪の修復・再生が妨げられる
  • 育児の不安や孤立感によるストレスが自律神経を乱し、頭皮の血行不良を招く
  • 産後ダイエットによる急激なカロリー制限がヘアサイクルの乱れをさらに促進する

PubMedのStatPearlsに掲載された休止期脱毛の総説でも、産後のホルモン変化に加えて低タンパク食や鉄欠乏が休止期脱毛の一般的な誘因であると記載されており、栄養状態の管理が重要であることがわかります。

また、育児による睡眠サイクルや食生活の乱れやストレスが重なっても抜け毛の原因になります

引用元:順天堂大学医学部附属静岡病院 こうのとりクラブ情報誌2021春号

母乳生成で1日約350kcal消費され栄養バランスが崩れやすい

授乳中のママの体は母乳を作るために通常より多くのエネルギーを消費しています。

国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の資料によると、母乳をつくるためには非妊時に比べ350kcal/日のエネルギーの付加を要するとされています。

この追加エネルギー分を食事で十分に補えないと、体は生命維持に必要な臓器へ優先的にエネルギーを振り分け、髪の毛や爪といった優先度の低い組織への供給が減少します。

厚生労働省の調査研究報告書でも、多くの授乳婦がビタミンA、B1、B2、B6、C、亜鉛、食物繊維の摂取基準を下回っていたと報告されており、栄養不足が広範囲にわたっていることがわかります。

産後の抜け毛を予防・軽減するためには、授乳に必要なエネルギーを意識した食事の見直しが不可欠でしょう。

母乳をつくるためには、非妊時に比べ350kcal/日のエネルギーの付加を要します

引用元:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 – 避難生活で母子に生じる健康問題を予防するための栄養・食生活支援

赤ちゃんのお世話による睡眠不足で成長ホルモンの分泌が低下する

新生児期〜乳児期は2〜3時間おきの授乳やおむつ替えが必要なため、ママの睡眠は細切れになりがちです。

成長ホルモンは深い睡眠(ノンレム睡眠)の間に多く分泌され、毛母細胞の分裂や毛髪の修復に関わっています。

睡眠が断続的になると深い睡眠に入りにくくなり、成長ホルモンの分泌量が低下する可能性があります。

順天堂大学医学部附属静岡病院の情報誌でも、育児による睡眠サイクルの乱れが抜け毛の原因になると指摘されています。

家族にサポートを求めたり、赤ちゃんの昼寝に合わせて仮眠を取るなど、睡眠時間を確保する工夫が産後の抜け毛回復を早めることにつながるでしょう。

ホルモンバランスが元に戻ると落ち着きますが、個人差が大きく2〜3カ月の場合や1年以上かかる可能性もあります

引用元:順天堂大学医学部附属静岡病院 こうのとりクラブ情報誌2021春号

育児の不安やストレスが頭皮の血行不良を招き抜け毛を促進する

初めての育児は想像以上に精神的な負担が大きく、ストレスが蓄積しやすい時期です。

廣瀬ら(2025)のアンケート研究では、産後脱毛が多少なりともあった人のうち73.1%がそれを不安またはストレスに感じていたことが明らかになっています。

精神的なストレスは自律神経の交感神経を優位にし、末梢血管を収縮させるため、頭皮への血流が減少して毛根に十分な栄養が届きにくくなります。

さらに、産後脱毛への不安がストレスとなり、そのストレスがまた抜け毛を悪化させるという悪循環に陥るケースもあるでしょう。

廣瀬らの分析では、産後脱毛の程度が強いほど不安症状のオッズ比が高まることが示されており、早い段階でストレスへ対処することが心身の健康を守る鍵となります。

産後脱毛が多少なりともあった人のうち,73.1%がそれを不安またはストレスに感じていたことがわかった

引用元:廣瀬明日香(2025)産後脱毛の実態把握と精神症状へ及ぼす影響 – 日本女性心身医学会雑誌 Vol.30 No.2

産後の抜け毛はいつからいつまで?ピーク時期と回復までの期間

産後の抜け毛がいつ始まりいつ終わるのかは、多くのママが抱く切実な疑問です。

国内の研究データでは、開始・ピーク・終了の平均時期が明らかにされており、おおよその見通しを持つことができます。

個人差はあるものの、多くの場合は産後1年以内に自然に回復するため、過度に心配する必要はないでしょう。

時期ごとの変化を知っておくことで、心の準備ができ、適切なタイミングでケアに取り組めるようになります。

産後の抜け毛は出産後2〜3か月頃に始まり約5か月でピークを迎える

産後の抜け毛は出産直後ではなく、2〜3か月のタイムラグを経て発生するのが一般的です。

廣瀬ら(2023・2025)の研究によると、産後脱毛の開始時期の平均は2.9か月、ピーク時期の平均は5.1か月と報告されています。

このタイムラグは、出産後にホルモンが低下してから毛髪が成長期を終えて休止期に入り、実際に脱落するまでに数か月かかるというヘアサイクルの仕組みによるものです。

産後3か月頃からシャンプー時や髪をとかすときに抜け毛が目立ち始め、5か月前後が最も気になる時期となるでしょう。

ピークの時期を事前に知っておくことで、突然の大量脱毛に驚かず冷静に対処できるようになります。

産後脱毛の開始時期,ピーク時期,終了時期の平均はそれぞれ2.9カ月,5.1カ月,8.1カ月であった

引用元:廣瀬明日香ほか(2023)Investigation of exacerbating factors for postpartum hair loss – Int J Womens Dermatol

産後の抜け毛は半年〜1年程度で徐々に回復しヘアサイクルが正常化する

産後の抜け毛は多くの場合、出産後半年〜1年程度で徐々に落ち着いていきます。

廣瀬らの研究データでは終了時期の平均が8.1か月であり、大半のママが産後1年以内に抜け毛の減少を実感しています。

順天堂大学医学部附属静岡病院の情報誌でも、ホルモンバランスが元に戻ると落ち着くが、個人差が大きく2〜3か月の場合や1年以上かかる可能性もあると解説されています。

抜け毛が減ってきたと感じた頃には新しい短い毛が生え始め、髪全体のボリュームも徐々に戻ります。

回復までの期間はホルモンの回復速度、栄養状態、睡眠の質などに左右されるため、生活習慣を整えることが回復を早める助けになるでしょう。

ホルモンバランスが元に戻ると落ち着きますが、個人差が大きく2〜3カ月の場合や1年以上かかる可能性もあります

引用元:順天堂大学医学部附属静岡病院 こうのとりクラブ情報誌2021春号

産後の抜け毛の程度や期間には個人差があり割合や経験談もさまざま

産後の抜け毛は全てのママに同じ程度で起こるわけではなく、個人差が大きいのが特徴です。

廣瀬ら(2023)の調査では、331名の産後女性のうち91.8%が産後脱毛を経験しており、程度にはばらつきが見られました。

残りの約8%は産後脱毛を全く感じなかったと回答しています。

廣瀬ら(2025)の論文によると、脱毛を感じた場面としては洗髪時が最も多く、髪のセット時や床・枕に抜け毛を見つけた時が続くと報告されています。

自分の抜け毛の量を他のママと比べて不安になるよりも、個人差があることを前提に経過を見守ることが精神的な安定につながるでしょう。

産後の抜け毛がない人の特徴とは?個人差が生まれる理由を解説

産後の抜け毛がなかった人やほとんど気にならなかった人には、いくつかの共通点が見られます。

約92%のママが産後脱毛を経験するとはいえ、残りの約8%は全く感じなかったと回答しており、その背景にはホルモン変化の緩やかさや栄養状態の良さが関係している可能性があります。

ここでは、抜け毛の程度に個人差が生まれる理由と、産後脱毛がなかった人の特徴を解説します。

産後抜け毛がない人はホルモン変化が緩やかで栄養状態が良い傾向にある

産後の抜け毛がない人、または軽度で済む人は、ホルモンの変動幅が比較的緩やかであることが推測されます。

Gizlentiら(2014)の研究結論には、妊娠中に成長期率は上昇し産後に休止期率は上がるが、多くの女性ではこれらの変化に誇張はないと記されており、ホルモン感受性やヘアサイクルの変動幅には大きな個人差があることがわかります。

栄養面では、妊娠前から鉄分や亜鉛、タンパク質をしっかり摂取していた人は毛髪への栄養供給が安定しやすく、産後の抜け毛が軽くなる可能性があります。

慶應義塾大学病院のKOMPASでも、亜鉛や鉄などのミネラルが不足すると脱毛が生じる場合があると解説されており、栄養状態と毛髪の健康は密接に関係しているといえるでしょう。

鉄、亜鉛など毛髪を作るもととなるミネラルを過不足なく摂るために、バランスのよい食事を摂るようにすることも重要です

引用元:慶應義塾大学病院 KOMPAS – 脱毛症

もともと毛量が多い人は抜け毛があっても気にならない場合がある

産後に抜け毛が起きているにもかかわらず、本人が気づかないケースもあります。

もともとの毛量が多い人は、一定量の抜け毛があっても全体のボリュームへの影響が小さいため、抜け毛を自覚しにくい傾向があります。

日本人女性の毛髪本数の平均は約10万本とされており、1日50〜100本程度の脱毛は正常範囲です。

毛量が多い人はこの正常範囲の脱毛が産後やや増えたとしても、見た目への影響が限定的となるでしょう。

一方、もともと毛量が少ない人や髪が細い人は同じ本数が抜けても変化を感じやすく、不安につながりやすいという側面があります。

妊娠中から栄養バランスの良い食事を続けていた人は影響が少ない

妊娠期から産後にかけて栄養バランスを意識した食事を続けていた人は、髪への栄養供給が途切れにくく、産後の抜け毛が軽減される可能性があります。

PubMedのStatPearls(休止期脱毛の総説)でも、低タンパク食や鉄欠乏が休止期脱毛の誘因として挙げられており、栄養不足の回避が抜け毛予防に直結することがわかります。

タンパク質は髪の主成分であるケラチンの材料となり、鉄分は毛母細胞に酸素を届ける赤血球の形成に関わり、亜鉛は細胞分裂に必須のミネラルです。

妊娠前からこれらを意識的に摂っていた人は体内の貯蔵量が十分であり、出産・授乳による消耗をある程度カバーできるといえるでしょう。

Common triggering events include… crash dieting, low protein intake, heavy metal ingestion, and iron deficiency.

引用元:Telogen Effluvium. StatPearls – PubMed

産後抜け毛がなかった人の声と知恵袋での体験談から見る共通点

知恵袋やSNSでは、産後の抜け毛がなかったと報告するママの声も一定数見られます。

体験談を分析すると、妊娠中から葉酸サプリや鉄分サプリを継続していた、睡眠時間を家族の協力で確保できていた、妊娠前から髪質が太くしっかりしていたという共通点が浮かび上がります。

また、2人目・3人目の出産では1人目ほど抜け毛が気にならなかったという声もあり、育児への慣れによるストレス軽減が影響している可能性があります。

ただし、体験談はあくまで主観的な報告であり、廣瀬らの研究が示す通り約92%のママが何らかの抜け毛を経験しているため、抜け毛があること自体は正常な生理現象と捉えることが大切です。

産後脱毛がなかった人と自分を比較して焦るのではなく、今からできるケアに取り組む姿勢が建設的といえるでしょう。

母乳育児中にできる産後の抜け毛対策を食べ物・サプリメント・ケアで紹介

授乳中であっても取り組める産後の抜け毛対策はたくさんあります。

食事内容の見直し、サプリメントの活用、頭皮ケアの改善、そして睡眠・ストレス管理を組み合わせることで、髪の回復を効果的にサポートできるでしょう。

母乳育児中は赤ちゃんへの影響を考慮した対策選びが重要であり、安全性の高い方法を優先すべきです。

ここでは、エビデンスに基づいた具体的な対策を紹介していきます。

産後の抜け毛対策に効果的な食べ物はタンパク質・鉄分・亜鉛が豊富な食材

産後の抜け毛対策の基本は、髪の成長に必要な栄養素を毎日の食事からしっかり摂取することです。

慶應義塾大学病院のKOMPASでは、鉄・亜鉛など毛髪を作るもととなるミネラルを過不足なく摂るためにバランスの良い食事を心がけてくださいと推奨されています。

髪の主成分ケラチンはタンパク質から合成されるため、肉・魚・卵・大豆製品を毎食取り入れることが欠かせません。

産後の抜け毛対策に取り入れたい栄養素と食材を以下に整理しました。

  • タンパク質:鶏むね肉、鮭、卵、納豆、豆腐など。髪の主成分ケラチンを合成する材料となる
  • 鉄分:赤身の肉、レバー、あさり、ほうれん草など。ヘム鉄はビタミンCと一緒に摂ると吸収率が高まる
  • 亜鉛:牡蠣、牛赤身肉、ナッツ類、海藻類など。毛母細胞の分裂を促進し新しい髪の成長を助ける
  • ビタミンB群:豚肉、玄米、バナナなど。タンパク質の代謝を助け、ケラチンの合成をサポートする
  • ビタミンC:ブロッコリー、パプリカ、キウイフルーツなど。鉄分の吸収を促進しコラーゲンの生成にも関わる

厚生労働省の調査研究でも、授乳婦の多くがビタミンA、B1、B2、B6、C、亜鉛の摂取基準を下回っていたと報告されているため、意識的な栄養補給が求められます。

日本人の食事摂取基準における授乳婦の推奨量もしくは目安量+付加量値との比較において、多くの授乳婦が摂取基準を逸脱しており、ビタミンA、B1、B2、B6、C、亜鉛、食物繊維では8割の授乳婦で摂取量が少なかった

引用元:厚生労働省 – 妊産婦のための食生活指針の改定案作成および啓発に関する調査研究報告書

髪の主成分ケラチンを作るために良質なタンパク質を毎食摂取する

髪の毛の約85%はケラチンというタンパク質で構成されており、食事からのタンパク質摂取が不足すると髪の成長に直接影響します。

PubMedの休止期脱毛に関する総説でも、低タンパク食が休止期脱毛の誘因として明確に挙げられています。

授乳中のママは母乳の生成にもタンパク質を消費するため、通常以上の摂取量を意識する必要があるでしょう。

具体的には、毎食手のひら1枚分程度の肉・魚・卵・大豆製品を取り入れることが目安となります。

動物性と植物性の両方を組み合わせることで、髪に必要な必須アミノ酸をバランスよく補えるのが利点です。

鉄分はヘム鉄の吸収率が高くビタミンCとの食べ合わせで効果アップ

鉄分は毛母細胞に酸素を運搬する赤血球の材料であり、不足すると髪の成長が停滞しやすくなります。

慶應義塾大学病院のKOMPASでは、亜鉛や鉄などの毛髪を作るのに重要なミネラルが欠乏するために脱毛が生じる場合があると記されています。

鉄分にはヘム鉄(赤身肉、レバー、かつおなどに含まれる)と非ヘム鉄(ほうれん草、小松菜、ひじきなどに含まれる)の2種類があり、ヘム鉄のほうが体内への吸収率が高いことが知られています。

非ヘム鉄を摂取する際は、ビタミンCを多く含むパプリカやレモンと一緒に食べると吸収効率が向上するでしょう。

産後は出産時の出血や授乳による消耗で鉄分が不足しがちなため、意識的に鉄分豊富な食材を選ぶことが髪のためにも健康のためにも重要となります。

脱毛症状が梅毒などの感染症の一症状であったり、亜鉛や鉄などの毛髪を作るのに重要なミネラルが欠乏するために生じる場合もあります

引用元:慶應義塾大学病院 KOMPAS – 脱毛症

亜鉛やミネラルは牡蠣・ナッツ・海藻類から効率よく摂取する

亜鉛は毛母細胞の分裂とケラチンの合成に不可欠なミネラルであり、不足すると髪の成長が遅延するだけでなく、髪自体が細く弱くなる可能性があります。

亜鉛を最も効率よく摂取できる食材は牡蠣で、100gあたり約14mgの亜鉛を含んでいます。

日常的に取り入れやすい食材としては、アーモンドやカシューナッツなどのナッツ類、わかめ・昆布・ひじきなどの海藻類が挙げられます。

厚生労働省の調査で授乳婦の約8割が亜鉛の摂取基準を下回っていたことを踏まえると、意識して摂取量を増やすべき栄養素といえるでしょう。

亜鉛はビタミンCやクエン酸と一緒に摂ると吸収率が高まるため、食べ合わせの工夫も効果的です。

授乳中でも飲める産後の抜け毛対策サプリメントの選び方と注意点

食事だけでは十分な栄養摂取が難しい場合、サプリメントで補うことも選択肢のひとつです。

授乳中に選ぶべきサプリメントは、葉酸、鉄分、亜鉛、ビタミンB群、ビタミンDなど、髪の成長に関わる栄養素を含み、かつ授乳中の安全性が確認されている製品に限られます。

厚生労働省の母子健康手帳でも、妊娠中や授乳中の薬の使用については必ず医師、歯科医師、薬剤師等に相談するよう記載されています。

授乳中のサプリメント選びで確認すべきポイントを以下にまとめました。

  • 授乳中の使用が明記されている製品を選ぶこと。成分表示に授乳中の摂取制限がないか確認する
  • 鉄分や亜鉛の過剰摂取は体に悪影響を及ぼすため、1日の上限摂取量を超えないよう注意する
  • 育毛系サプリメントの中にはミノキシジルなど授乳中に推奨されない成分を含む製品があるため、成分を必ず確認する
  • 不明点がある場合は自己判断せず、かかりつけの産婦人科医や薬剤師に相談してから開始する

母乳を通じて赤ちゃんに移行する可能性がある成分も存在するため、安全性を最優先にした製品選びが求められます。

妊娠中や授乳中の薬の使用については、必ず医師、歯科医師、薬剤師等に相談しましょう

引用元:厚生労働省 – 母子健康手帳

低刺激シャンプーと頭皮マッサージで授乳中の頭皮環境を改善する方法

産後はホルモンの変化により頭皮が敏感になりやすいため、シャンプーの見直しと頭皮ケアの習慣化が抜け毛対策に有効です。

順天堂大学医学部附属静岡病院の産婦人科医も、出産前から質の良いシャンプー(アミノ酸系など)を使用して抜け毛対策をすることが大事と推奨しています。

洗浄力の強いシャンプーは必要な皮脂まで落としてしまい、頭皮の乾燥やバリア機能の低下を招く可能性があります。

毎日のシャンプーを低刺激なものに切り替えるだけで、頭皮環境は改善に向かうでしょう。

出産前から質の良いシャンプー(アミノ酸系など)を使用して抜け毛対策をすることも大事です

引用元:順天堂大学医学部附属静岡病院 こうのとりクラブ情報誌2021春号

アミノ酸系シャンプーは産後のデリケートな頭皮の洗浄に適している

アミノ酸系シャンプーは、洗浄成分にアミノ酸由来の界面活性剤を使用しており、頭皮への刺激が穏やかなのが特徴です。

産後のホルモン変化で敏感になった頭皮に対して、必要な潤いを残しながら余分な皮脂や汚れを落とすことができます。

成分表示でココイルグルタミン酸Na、ラウロイルメチルアラニンNa、ココイルアラニンTEAなどの表記があればアミノ酸系シャンプーと判断できるでしょう。

ラウリル硫酸Na、ラウレス硫酸Naなどの高級アルコール系界面活性剤を含む製品は洗浄力が強すぎる場合があるため、産後は避けるほうが頭皮に優しい選択となります。

シャンプーの際は爪を立てず指の腹で頭皮を優しく洗うことも、頭皮環境を守るうえで重要なポイントです。

頭皮マッサージで血行を促進し栄養を毛根のすみずみまで届ける

頭皮マッサージは血行を促進し、食事から摂取した栄養素を毛根にしっかり届けるための効果的な方法です。

シャンプー時やドライヤーの前に、両手の指の腹で頭皮全体を優しく押すように動かすだけで十分な効果が期待できます。

側頭部から頭頂部に向かって下から上へマッサージすることで、血流の滞りやすい頭頂部への血液循環を促せるでしょう。

1回あたり3〜5分程度を毎日続けることがポイントであり、強くこすったり引っ張ったりする過度なマッサージは逆効果となる場合があります。

慶應義塾大学病院のKOMPASでも過度な頭皮マッサージは不必要と注意喚起されているため、あくまで心地よい力加減で行うことが大切です。

また、過度な頭皮マッサージなどは不必要です

引用元:慶應義塾大学病院 KOMPAS – 脱毛症

授乳中の睡眠時間の確保とストレス軽減が産後の抜け毛回復を早める

十分な睡眠とストレス管理は、ホルモンバランスの回復とヘアサイクルの正常化を後押しする重要な要素です。

産後は赤ちゃんのお世話でまとまった睡眠が難しいものの、家族やパートナーと分担して少しでも休息時間を確保する工夫が求められます。

赤ちゃんの昼寝のタイミングに合わせて15〜20分の仮眠をとるだけでも、体の回復に差が生まれるでしょう。

ストレス対策としては、短時間のストレッチ、好きな音楽を聴く、温かい飲み物をゆっくり味わうなど、日常に取り入れやすい方法が有効です。

無理をして全てを一人でこなそうとせず、子育て支援サービスや地域のサポートを活用することも、ストレス軽減の有効な手段といえるでしょう。

産後の抜け毛をカバーするおすすめ髪型・ヘアスタイル・前髪の作り方

産後の抜け毛が気になるとき、髪型を工夫するだけで見た目の印象は大きく変わります。

抜け毛のピーク時期にはカバー力の高いスタイルを選び、回復期にはヘアアレンジで新しく生えてきた短い毛となじませることが可能です。

育児中は手入れのしやすさも重要なポイントとなるため、おしゃれと実用性を両立できるスタイルを紹介していきます。

産後の抜け毛で前髪がスカスカになったら厚めバングで生え際をカバーする

産後の抜け毛は前頭部の生え際や分け目付近で特に目立ちやすく、前髪がスカスカになったと感じるママは少なくありません。

最も手軽で効果的な対策は、前髪を厚めに作る(厚めバング)ことで薄くなった部分を物理的にカバーする方法です。

頭頂部のやや後ろから前髪を取ることで毛量をしっかり確保でき、生え際の薄さを目立たなくすることができるでしょう。

前髪の幅を広めに取るワイドバングも、サイドの薄毛をカバーしながら小顔効果も得られるスタイルです。

産後に新しく生えてきた短いアホ毛が気になる場合は、スタイリング剤やヘアマスカラで押さえると自然な仕上がりになります。

美容師に産後の抜け毛が気になることを伝えれば、生え際の状態に合わせたカット提案をしてもらえるため、遠慮せず相談してみましょう。

産後抜け毛におすすめの髪型はショートやボブで手入れしやすいスタイル

産後の抜け毛をカバーしつつ育児中の利便性も重視するなら、ショートヘアやボブスタイルが最適です。

短めのスタイルは髪全体にボリュームが出やすく、薄毛が目立ちにくいという利点があります。

特にレイヤーを入れたショートボブは、トップにふんわりとした動きが出るため、頭頂部の薄さをカバーする効果が高いでしょう。

授乳中は赤ちゃんに髪を引っ張られるリスクも減り、ドライヤーの時間も短縮できるため、忙しいママの味方となるスタイルです。

ロングヘアにこだわりがある場合は、髪を一つにまとめるポニーテールやお団子ヘアで全体のボリューム感を調整する方法も有効といえます。

ヘアバンドやカチューシャを使った産後ママ向けヘアアレンジの工夫

ヘアカットに行く時間が取れないママにとって、ヘアアクセサリーを使ったアレンジは即効性のあるカバー術です。

ヘアバンドは生え際やおでこ周りの薄毛を隠しながら、おしゃれな印象をプラスできるアイテムとして産後ママに人気があります。

幅広タイプのヘアバンドは前頭部を広範囲にカバーできるため、前髪の薄さが特に気になる方に適しているでしょう。

カチューシャは分け目の薄さをカモフラージュしつつ、清潔感のある印象を演出できます。

ターバン風にスカーフを巻くアレンジも、頭全体をふんわりと見せることができ、授乳や抱っこの際にも邪魔にならない実用的なスタイルです。

毎日のヘアアレンジを少し工夫するだけで気分が上がり、外出への意欲も高まるきっかけになるでしょう。

産後の抜け毛の画像で見る症状の特徴と正常な抜け毛との見分け方

産後の抜け毛がどの程度なら正常範囲なのか、他の脱毛症との違いはどこにあるのかを理解しておくことは、不必要な不安を避けるうえで重要です。

産後脱毛には特有の特徴があり、他の脱毛症とは明確に区別できるポイントが存在します。

ここでは、産後脱毛の症状の特徴と、医療機関を受診すべき目安について解説していきます。

産後の抜け毛の特徴は髪全体が均一に薄くなるびまん性脱毛である

産後の抜け毛は医学的に休止期脱毛(telogen effluvium)に分類され、頭部全体が均一に薄くなるびまん性の脱毛パターンを示すのが最大の特徴です。

PubMedのStatPearlsでは、休止期脱毛は瘢痕を伴わないびまん性で急性の抜け毛と定義されています。

慶應義塾大学病院のKOMPASでも、休止期脱毛は頭部全体の毛髪が一気に抜けてしまうこともあると解説されています。

特定の部分だけが禿げるのではなく、頭全体の毛量が均等に減少するため、分け目が広がったように見えたり、髪全体のボリュームが減ったと感じたりするケースが多いでしょう。

産後脱毛で抜けた毛髪の毛根は正常な棍棒状(クラブヘア)をしており、毛根が傷ついたり萎縮したりしていないことも特徴の一つです。

Telogen effluvium is a form of nonscarring alopecia characterized by diffuse, often acute, hair shedding.

引用元:Telogen Effluvium. StatPearls – PubMed

円形脱毛症など他の脱毛症との違いと皮膚科・婦人科への受診目安

産後の抜け毛と混同されやすいのが円形脱毛症ですが、両者は症状のパターンが明確に異なります。

慶應義塾大学病院のKOMPASによると、円形脱毛症はコインのように円形な脱毛斑ができるのが特徴であり、産後の休止期脱毛のような頭部全体の均一な薄毛とは異なります。

特定の箇所に円形やコイン型のはっきりした脱毛斑が見られる場合は、産後脱毛ではなく円形脱毛症の可能性を考慮し、皮膚科を受診すべきでしょう。

産後の抜け毛は通常1年以内に自然回復しますが、1年以上経っても改善が見られない場合や、脱毛と同時に疲れやすさ・体重変動・動悸などの全身症状がある場合は、甲状腺機能異常や貧血など他の疾患が隠れている可能性があるため医師への相談が必要です。

円形脱毛症は、毛髪を作るおおもとになる毛包のうち毛根と呼ばれる部分が炎症により破壊されることにより生じます。コインのように円形な脱毛斑ができるのが特徴です

引用元:慶應義塾大学病院 KOMPAS – 脱毛症

産後1年以上抜け毛が続く場合は甲状腺や貧血の可能性も検討する

産後1年を過ぎても抜け毛が止まらない場合は、産後のホルモン変化以外の原因を疑う必要があります。

PubMedの休止期脱毛の総説では、甲状腺機能低下症が休止期脱毛の一般的な誘因の一つとして挙げられています。

産後は甲状腺炎が発症しやすい時期でもあり、甲状腺ホルモンの異常が抜け毛を長引かせている可能性があります。

慶應義塾大学病院のKOMPASでも、脱毛症は内分泌異常や膠原病など内科的な病気に関連して発症してくる場合があり、脱毛以外に疲れやすい、微熱があるなどの全身症状がある場合は主治医に伝えることが大切と注意喚起されています。

血液検査で甲状腺ホルモン値やフェリチン(貯蔵鉄)の値を確認することで、原因を特定しやすくなるでしょう。

脱毛症は、内分泌異常や膠原病など内科的な病気に関連して発症してくる場合があります。脱毛以外に、疲れやすい、微熱があるなどの全身症状がある場合は主治医に伝えることが大切です

引用元:慶應義塾大学病院 KOMPAS – 脱毛症

精神的な悩みが大きい場合は医師やクリニックへ早めに相談する

産後の抜け毛による精神的な苦痛は決して軽視すべきではありません。

廣瀬ら(2025)の分析では、産後脱毛が最も強かった群では不安症状のオッズ比が4.47と有意に高く、抜け毛の程度と精神的な不安には明確な関連があることが示されています。

外出を控えるようになった、帽子やウィッグなしでは人に会えない、抜け毛が気になって眠れないといった状態であれば、皮膚科や婦人科、メンタルヘルスの専門家に早めに相談することが推奨されます。

一人で抱え込まずに専門家へ相談することが、心身の回復への第一歩となるでしょう。

産後脱毛が最も強かった群では,なかった群に比べて,オッズ比4.47,95%信頼区間(1.34-14.93)であった.産後脱毛の程度はGAD-2による不安と関連することが明らかになった

引用元:廣瀬明日香(2025)産後脱毛の実態把握と精神症状へ及ぼす影響 – 日本女性心身医学会雑誌 Vol.30 No.2

産後の抜け毛と母乳育児に関するよくある質問をQ&Aで解説

産後の抜け毛と母乳育児に関して、ママたちから寄せられることの多い疑問をQ&A形式で取り上げます。

授乳をやめたら抜け毛はすぐ止まるのか、育毛剤は使っても大丈夫なのか、ひどい抜け毛への応急処置は何があるのかなど、実用的な情報を中心に回答していきます。

授乳をやめたら産後の抜け毛はすぐ止まるのか

授乳を中止しても産後の抜け毛がすぐに止まるわけではありません。

廣瀬ら(2025)の論文で解説されている通り、授乳刺激が十分に減少するとLHサージが起こり排卵が再開し、エストロゲンおよびプロゲステロンは妊娠前のレベルに戻ります。

しかし、ホルモン値が回復してからヘアサイクルが正常化するまでには数か月のタイムラグが生じます。

授乳を終えた直後は体内のエストロゲンが徐々に回復し始める段階であり、すでに休止期に入っている毛髪が脱落するプロセスは止められません。

授乳をやめてから2〜3か月後に抜け毛の減少を実感し始めるケースが多いと考えられるでしょう。

抜け毛を止める目的だけで授乳を中止することは、母乳育児の利点を手放すことになるため推奨されません。

母乳育児中に育毛剤を使用しても赤ちゃんへの影響はないのか

授乳中の育毛剤の使用には慎重な判断が必要です。

市販の育毛剤の多くは頭皮に塗布するタイプであり、体内への吸収量は限定的ですが、成分によっては母乳を通じて赤ちゃんに移行するリスクがゼロとは言い切れません。

特にミノキシジル配合の発毛剤は、血圧に影響する可能性があるため授乳中の使用が推奨されていない製品が多い点に注意が必要です。

厚生労働省の母子健康手帳でも、妊娠中や授乳中の薬の使用については必ず医師や薬剤師に相談するよう記載されています。

医薬部外品の育毛トニックや天然成分を主体とした頭皮用美容液であれば比較的リスクは低いものの、使用前にかかりつけ医に確認を取ることが望ましいでしょう。

出産後に抜け毛がひどいときの応急処置と対策グッズを紹介

産後の抜け毛がひどく、今すぐ何とかしたいと感じたときに役立つ応急処置と対策グッズがあります。

まず、排水溝に溜まる抜け毛を見てショックを受けないよう、シャンプー前にブラッシングで抜ける毛をあらかじめ除去しておくことが精神的な負担軽減に効果的です。

スタイリングの場面では、ボリュームアップスプレーやドライシャンプーを根元に使うことで、髪をふんわり立ち上げて薄さをカバーできます。

産後の抜け毛がひどいときに活用できる対策グッズは以下の通りです。ボリュームアップスプレーは根元に吹きかけるだけでふんわり感が出て、分け目の目立ちを軽減します。ヘアバンド・ターバンは前頭部のスカスカ感を自然にカバーしつつおしゃれ感も演出できます。頭皮用美容液は授乳中でも使用できる低刺激タイプを選び毛根への栄養補給を補助します。幅広コームは細かいブラシよりも髪への摩擦が少なく絡まりによる余計な抜け毛を防止します。シルク素材の枕カバーは就寝中の髪への摩擦を最小限に抑え切れ毛や抜け毛の軽減が期待できます。

産後の抜け毛は一時的な現象であり、適切な栄養摂取とケアを続ければ自然に回復していくため、焦らず着実に対策を続けることが最も大切です。

日々の小さなケアの積み重ねが、髪の回復を確実に後押しするでしょう。

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