頭皮を触るとボコボコした凹凸があり、かゆみも伴う症状に悩む方は少なくありません。
頭皮のでこぼこやかゆみの原因は、シャンプーによる接触皮膚炎、皮脂バランスの乱れによる脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患が代表的です。
45〜55歳前後の更年期世代ではホルモンバランスの変化も影響する可能性があるでしょう。
症状が軽度であれば市販薬やシャンプーでのセルフケアで改善が期待でき、改善しない場合はリンデロンなどのステロイド外用薬を皮膚科で処方してもらうのが効果的といえます。
頭皮湿疹を放置すると抜け毛や薄毛につながるリスクもあるため、早めの対処が重要です。
頭皮にかゆみやでこぼこが起きる原因5選
頭皮にかゆみやでこぼこが起きる原因は、外的刺激から内的要因まで多岐にわたります。
シャンプーやヘアカラーによる接触皮膚炎、皮脂バランスの乱れによる脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患が代表的な原因として挙げられるでしょう。
更年期によるホルモンバランスの変化や、子供に多いアタマジラミの感染も見落とせない要因です。
原因を正しく把握することで、適切な治療法や予防策を選択しやすくなります。
以下では、頭皮のかゆみやでこぼこを引き起こす5つの主な原因について詳しく解説していきます。
シャンプーや薬剤による刺激・かぶれ
頭皮のかゆみやでこぼこは、シャンプーやヘアカラーなどの薬剤による刺激・かぶれが原因となるケースが多く見られます。
政府広報オンラインによると、ヘアカラー(永久染毛剤)に含まれる酸化染料に対するアレルギー反応として、かゆみや赤み、腫れやブツブツなどの症状が現れることがあります。
頭皮は毛穴が多く、汗や皮脂が盛んに分泌されるうえ、シャンプーやカラーリング、紫外線や空気の乾燥など多くの要因で炎症を起こしやすい部位といえるでしょう。
皮膚が敏感な方や皮膚に傷がある方は、バリア機能が弱っているため刺激性接触皮膚炎を発症しやすくなります。
ヘアカラー後に頭皮のかゆみやでこぼこを感じた場合は、使用した製品による接触皮膚炎の可能性を疑い、早めに皮膚科を受診することが賢明です。
皮脂バランスの乱れ
皮脂の分泌バランスが崩れると、頭皮にかゆみやでこぼこといった症状が生じる原因となります。
日本東洋医学会雑誌によると、皮脂成分の一つであるトリグリセライドが常在菌のリパーゼにより分解され、刺激性の遊離脂肪酸となって炎症を引き起こすとされています。
マラセチアという常在菌が増殖し、その代謝産物が頭皮を刺激することも脂漏性皮膚炎の大きな要因として注目されているでしょう。
ツバキ油配合シャンプーを用いた臨床試験では、マラセチアの菌数が有意に減少し、頭皮脂質の遊離脂肪酸も減少したという報告があります。
一方、老化に伴い皮脂分泌が低下すると皮脂欠乏性皮膚炎を発症しやすく、特に冬場は乾燥による頭皮トラブルが起こりやすいとされています。
皮脂の過剰・不足どちらの場合でも、頭皮環境の乱れはかゆみやでこぼこの原因となる可能性があります。
皮膚疾患による炎症やかゆみ
アトピー性皮膚炎や乾燥肌などの皮膚疾患は、頭皮のかゆみやでこぼことした症状を引き起こす主要な原因です。
順天堂大学環境医学研究所の研究によると、アトピー性皮膚炎や乾燥肌では神経線維が皮膚の表面まで伸びており、外部刺激を直接受けてかゆみを引き起こすことが判明しています。
この現象は抗ヒスタミン薬が効かないかゆみの原因の一つとして注目されているでしょう。
九州大学皮膚科の資料では、アトピー性皮膚炎のかゆみの原因や対処法について詳細に解説されており、かゆみには個人差があることも示されています。
頭皮に慢性的なかゆみやでこぼこが続く場合は、皮膚疾患の可能性を考慮して皮膚科での診察を受けることをおすすめします。
更年期による影響
更年期を迎えると、ホルモンバランスの変化により頭皮のかゆみやトラブルが生じやすくなります。
東京女子医科大学のアンケート調査では、更年期患者において頭皮や額に汗をかきやすくなった、皮膚の乾燥、かゆみなどの症状が報告されています。
更年期障害の中核的な症状以外にも、身体的・心理社会的変化を基盤として様々な皮膚症状が生じる可能性があるでしょう。
近畿大学医学部でも、好発年齢が更年期障害の時期に一致する皮膚疾患については、更年期障害の有無を確認することが重要とされています。
更年期世代(一般的に45〜55歳前後)の女性で頭皮のかゆみやでこぼこが気になる場合は、更年期との関連も視野に入れた対策が必要です。
頭ジラミ(アタマジラミ)の感染
アタマジラミの感染は、頭皮の激しいかゆみを引き起こす原因として見落とされやすい要因の一つです。
国立感染症研究所によると、アタマジラミは直接的な頭部の接触が主な感染経路であり、寝具やタオル、帽子の共用によっても感染するとされています。
感染初期の1〜2匹の段階ではほとんど自覚症状がありませんが、3〜4週間経過して個体数が増加する頃に激しい痒みに襲われます。
日本臨床皮膚科医会の資料では、アタマジラミの吸血時の唾液成分によるアレルギー反応でかゆみが生じると説明されています。
かゆみには個人差があり、かなりの数に増えるまで感染に気づかないケースもあるでしょう。
特に幼稚園や保育園、小学校に通う子供がいる家庭では、頭皮のかゆみが続く場合にアタマジラミ感染の可能性も考慮する必要があります。
頭皮湿疹によるかゆみやでこぼこの治し方!市販薬・皮膚科での治療を解説
頭皮湿疹によるかゆみやでこぼこの治療は、症状の程度に応じて段階的に進めることが基本となります。
軽度の症状であれば、ドラッグストアで購入できる市販薬やシャンプーでのセルフケアから始めるのが一般的でしょう。
市販薬で改善しない場合や症状が悪化する場合は、皮膚科を受診してリンデロンなどのステロイド外用薬を処方してもらうことで効果的な治療が期待できます。
かゆみが強い場合には、抗ヒスタミン薬などの飲み薬を併用することも有効な選択肢です。
ここでは、市販薬から皮膚科での治療まで、頭皮湿疹の具体的な治し方を解説していきます。
まずは市販薬でセルフケア!症状が軽いうちは塗り薬やシャンプーで対処
頭皮湿疹による軽度のかゆみやでこぼこは、市販薬を使ったセルフケアで改善が期待できます。
PMDAに承認されている頭皮湿疹治療薬には、メンソレータムメディクイックHゴールドやムヒHDmなどがあり、抗炎症成分やかゆみ止め成分、殺菌成分が配合されています。
頭皮湿疹に効果が期待できる市販薬の特徴を以下に整理しました。
- 塗り薬:抗炎症成分やかゆみ止め成分を直接患部に塗布でき、即効性が期待できる
- 薬用シャンプー:毎日の洗髪時に使用でき、頭皮全体をケアできる
- 抗真菌成分配合シャンプー:脂漏性皮膚炎の原因となるマラセチアの増殖を抑制する効果がある
PubMedに掲載された研究では、ケトコナゾールシャンプーが脂漏性皮膚炎の治療において有望な選択肢であり、頭皮のスケーリングとかゆみを有意に改善したと報告されています。
症状が軽いうちに市販の塗り薬やシャンプーで適切にケアすることで、悪化を防ぎやすくなるでしょう。
市販薬で改善しない場合は皮膚科へ!リンデロンなどのステロイド外用薬で炎症を抑える
市販薬で頭皮のかゆみやでこぼこが改善しない場合は、皮膚科を受診してステロイド外用薬による治療を検討する必要があります。
Cochraneの系統的レビューによると、ステロイド外用薬は顔面および頭皮の脂漏性皮膚炎に対する効果的な治療法であり、プラセボと比較して短期試験で総消失率が有意に高いことが示されています。
皮膚科での主な治療法と市販薬の違いを比較した結果は以下のとおりです。
| 項目 | 市販薬 | 皮膚科での処方薬 |
|---|---|---|
| ステロイドの強さ | 弱〜中程度 | 症状に応じて調整可能 |
| 抗真菌薬の処方 | 一部シャンプーのみ | 外用薬・内服薬の選択肢あり |
| 症状の診断 | セルフ判断 | 専門医による正確な診断 |
| 治療の個別化 | 限定的 | 症状・体質に合わせた処方 |
九州大学皮膚科の資料では、ステロイド外用薬にはクリームやローション、テープ剤などのバリエーションがあり、髪の毛の生えている頭部にはローションが塗りやすいと説明されています。
かゆみや炎症が激しい場合には、リンデロンやプレドニンなどのステロイドの飲み薬を一時的に服用するケースもあるでしょう。
市販薬で効果が見られない場合や症状が悪化する場合は、皮膚科で適切な強さのステロイド外用薬を処方してもらうことで、効率的な改善が見込めます。
かゆみが強いときは飲み薬も有効!抗ヒスタミン薬やビタミン剤などで体の内側から改善
頭皮のかゆみが強く外用薬だけでは対処しきれない場合、抗ヒスタミン薬などの飲み薬が有効な選択肢となります。
九州大学皮膚科によると、現在使用されているかゆみ止めの飲み薬は抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬と呼ばれるもので、かゆみを起こすヒスタミンという体内物質の働きをブロックする作用があります。
抗ヒスタミン薬として処方される代表的な薬剤を以下に整理しました。
- アレグラ:眠気が出にくく、日中の服用に適している
- ジルテック・アレロック:やや強めの効果があり、かゆみが強い場合に処方されることが多い
- クラリチン:1日1回の服用で効果が持続しやすい
- ポララミン・ペリアクチン:即効性があるが眠気を伴う可能性がある
関西医科大学でも、痒みが強い場合には抗ヒスタミン薬を内服することが推奨されています。
外用薬と内服薬を併用することで、頭皮の炎症を外側から抑えながら、かゆみの根本的な原因にも体の内側からアプローチできます。
頭皮がでこぼこしてかゆみがでる症状のセルフケア・予防法
頭皮のでこぼこやかゆみは、日常的なセルフケアと予防策によって発症リスクを軽減できます。
薬用シャンプーや低刺激性シャンプーの使用、正しい洗髪方法の実践が基本的な対策となるでしょう。
頭皮の保湿や血行促進のためのマッサージも、頭皮環境を整えるうえで効果的です。
生活習慣の改善や寝具の清潔維持といった日々の心がけも、頭皮トラブルの予防に大きく貢献します。
ここでは、頭皮のかゆみやでこぼこを防ぐための具体的なセルフケア方法を6つ紹介していきます。
薬用シャンプーや低刺激性シャンプーを使う
頭皮のかゆみやでこぼこを予防するためには、薬用シャンプーや低刺激性シャンプーの使用が効果的です。
熊本大学医学部附属病院の資料では、頭皮が敏感になっている場合は刺激の少ない弱酸性のシャンプーを使用し、やさしくなでるように洗うことが推奨されています。
PubMedに掲載された研究によると、1%シクロピロクス配合シャンプーの使用により、脂漏性皮膚炎の剥離、炎症、かゆみが軽減されることが報告されています。
更年期世代(一般的に45〜55歳前後)や敏感肌の方は、頭皮への刺激を最小限に抑えられるシャンプー選びが特に重要になるでしょう。
薬用シャンプーには抗真菌成分や抗炎症成分が配合されており、頭皮トラブルの予防と改善の両面で効果が期待できます。
正しいシャンプー方法を実践する
適切なシャンプー方法を実践することで、頭皮のかゆみやでこぼこの予防につながります。
群馬大学医学部附属病院では、毛髪や頭皮を清潔に保つために頭皮への刺激が少ないシャンプーを使用することが推奨されています。
大阪公立大学医学部附属病院の資料によると、頭皮は皮脂が多くべたつきやすいため、少量のシャンプーを泡立ててよく洗うことが重要です。
爪を立てずに指の腹でマッサージするように洗い、すすぎ残しがないよう十分に洗い流すことがポイントとなるでしょう。
正しいシャンプー方法の習慣化は、頭皮環境を健やかに保つための基本的なセルフケアです。
頭皮の保湿をする
頭皮の乾燥を防ぐための保湿ケアは、かゆみやでこぼこの予防に欠かせません。
熊本大学医学部附属病院によると、乾燥肌はアレルゲンや病原菌が侵入しやすい状態をつくるため、清潔にした後にバリア機能を補う保湿が必要とされています。
セラミドを含む乳液やクリーム、ワセリン、オリーブ油、ベビーオイルなど自分に合ったものを使うと効果的でしょう。
NOV薬用スカルプローションの臨床試験では、頭皮の乾燥、フケ、痒みなどの症状改善が90.1%にみられたという報告があります。
入浴後や洗髪後の頭皮が清潔な状態で保湿剤を塗布することで、バリア機能の維持と頭皮トラブルの予防効果が高まります。
頭皮マッサージで血行を促進する
頭皮マッサージによる血行促進は、頭皮環境の改善とかゆみ予防に効果が期待できます。
CiNii Researchに掲載された研究では、約3分間のセルフマッサージにより頭皮血流がベースラインに対して120%増加し、単回の処置後も20分以上持続したことが報告されています。
マッサージ手法の中でも圧迫法が最も血流上昇作用が高いという特徴が見出されました。
7日間の毎日のマッサージ処置により、頭皮の可動性スコアが向上することも判明しています。
百会などのツボを刺激しながら頭皮マッサージを行うことで、血流改善と髪の成長促進の両方にアプローチできるでしょう。
シャンプー時や入浴中に頭皮マッサージを取り入れる習慣が、頭皮のボコボコやかゆみの予防に役立ちます。
生活習慣の改善をする
生活習慣の見直しは、頭皮のかゆみやでこぼこを根本から予防するために重要な取り組みです。
福井大学の資料では、更年期の頭皮トラブルやアレルギーに関する問題について、生活習慣改善の観点から対策が解説されています。
睡眠不足やストレス、偏った食生活は皮脂分泌のバランスを乱し、頭皮環境の悪化を招く可能性があるでしょう。
ビタミンB群を多く含む食品の摂取や適度な運動、十分な睡眠時間の確保が頭皮の健康維持に寄与します。
日々の生活習慣を整えることが、頭皮湿疹やかゆみの再発を防ぐ基盤となります。
枕カバーを清潔に保つ
枕カバーやシーツなどの寝具を清潔に保つことは、頭皮のかゆみやでこぼこを予防するうえで見落とされがちなポイントです。
兵庫教育大学のアタマジラミに関する資料では、枕カバーやシーツはこまめに洗濯し、感染後の衣服やタオルは60℃以上のお湯に5分以上つけてから洗濯することが推奨されています。
鳴門教育大学の資料でも、シーツや枕カバー等の寝具の洗濯が推奨されており、清潔にしていても集団生活をしていればアタマジラミに感染する可能性があると注意喚起されています。
寝具には皮脂や汗、フケなどが蓄積しやすく、ダニや雑菌の繁殖場所になる可能性があるでしょう。
週に1〜2回程度の枕カバー交換を習慣化することで、頭皮トラブルのリスク軽減につながります。
頭皮湿疹を放置すると抜け毛や薄毛につながるので注意
頭皮湿疹による炎症を放置すると、抜け毛や薄毛のリスクが高まる可能性があります。
大阪公立大学医学部附属病院によると、毛が抜けることを気にして洗髪しないと不潔な状態になり、毛穴がつまって皮膚炎が起こる可能性があるとされています。
藤田医科大学の資料では、健康な時と同じようにヘアカラーなどによるアレルギーや地肌のかぶれのリスクがあることが指摘されています。
聖路加国際病院の情報によると、皮膚病変を伴う膠原病では頭皮に円板状エリテマトーデスなどが生じ、二次的に脱毛を伴う場合もあるとされています。
頭皮のかゆみやでこぼこが続く場合は、市販薬でのセルフケアで様子を見つつ、改善しなければ早めに皮膚科を受診することで、抜け毛や薄毛への進行を防ぎやすくなるでしょう。

