大腸カメラ(大腸内視鏡検査)とは
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)は、大腸(結腸、直腸)と小腸の一部の内腔の様子を観察するための検査になります。この場合は内視鏡を肛門から挿入し、主に大腸の内壁などに炎症、潰瘍、ポリープ、がんといった病変の有無を確認していきます。また腸管を観察するというだけでなく、病変が疑われる組織を一部採取して顕微鏡で詳細を調べる検査(生検)やポリープを発見した際にそれを内視鏡で切除するといったことも可能です。同検査でかかる時間につきましては、観察のみであれば個人差はありますが15~30分ほどです。
なお大腸内視鏡では、肛門から逆流するような形で内視鏡を腸管の中に挿入していきます。その際に空気も入るわけですが、この空気が腹痛やお腹のハリを訴える原因にもなります。そのため、これらの症状をできるだけ抑えられるよう内視鏡挿入時に体内に吸収されるのが早いとされる炭酸ガスを使用しています。こうすることで、検査時に感じる腹満感は軽減されていきます。このほか検査時は苦痛の症状ができるだけ和らぐよう鎮静剤も投与していきます。
こんな症状はございませんか?
便潜血反応で「陽性」と出た ※必ず検査を受けるようにしてください
血便が出ている
便秘や下痢などの便通の異常がある
腹痛、腹部膨満感がある
貧血を指摘された
顔色が悪いとよく言われる
急激な体重の減少があった
大腸ポリープや大腸がんを治療した経験がある など
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)で発見可能な主な疾患
主な対象疾患
大腸ポリープ、大腸がん、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)、大腸憩室症、虚血性腸炎 など
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)の特徴
Point 01
人工知能AIを用いた大腸カメラ検査
大腸がんは、日本人のがんの中で罹患数第1位、死亡数第2位と高い割合を占めていますが、早期発見できれば内視鏡や外科手術での治療が可能です。当院では、AIを活用した内視鏡画像診断支援「CAD EYE™」を大阪で初導入。これにより、微小な大腸ポリープの発見精度が向上し、より正確な診断と早期治療が実現可能となりました。
Point 02
大腸カメラ検査受検者の専用トイレ有
大腸カメラ検査を受ける際には、前日夜から当日にかけて下剤を服用し、腸内をきれいにする準備が必要です。頻繁にトイレに行きたくなるこの期間、当院では検査受診者専用のトイレをリカバリー室内に設置しています。他の患者様に気兼ねすることなく、安心してご利用いただける環境を整えており、検査前の不安や負担を少しでも軽減できるよう配慮しています。
Point 03
苦痛の少ない大腸カメラ検査
大腸カメラ検査では、内視鏡挿入時に空気が入ることで腹痛や膨満感を覚える方もいます。当院では、こうした苦痛を和らげるため、鎮静剤と炭酸ガス送気装置を導入。鎮静剤によりリラックスした状態で検査を受けられ、苦痛を軽減できます。また、炭酸ガスは空気の約200倍の速さで体内に吸収されるため、検査後の膨満感や違和感も抑えられ、快適な検査を実現しています。
Point 04
土曜日・月1回日曜日も診察や大腸カメラ検査対応可能
平日にお仕事などでお忙しい方にも無理なく受診いただけるよう、土曜日・月1回日曜日の午前中にも診察時間を設けております。大腸カメラや胃カメラ検査も、事前の診察とご予約が必要ですが、土曜日・月1回日曜日に検査を受けていただくことが可能です。さらに、検査時に小さなポリープが見つかった場合には、その場で日帰り切除も対応しており、早期発見・早期治療に努めています。
Point 05
日帰りの大腸ポリープ切除
大腸カメラ検査中にポリープが発見された場合、医師の判断によりその場で切除を行うことが可能です。切除にかかる時間は1個あたり約3~5分と短く、通院の手間や費用、患者様の身体への負担を軽減できます。検査と治療を同時に行うことで効率的かつスムーズな対応が可能です。なお、大きさや位置により切除が困難な場合には、連携先の医療機関をご紹介いたしますのでご安心ください。
Point 06
大腸カメラと胃カメラを同日施行可能
当院では、大腸カメラと胃カメラを同日に受けていただくことが可能です。一度の準備で両方の検査ができるため、通院や食事制限の手間を軽減でき、時間的にも効率的です。さらに、鎮静剤を使用する場合も1回で済むため、体への負担も抑えられます。検査効率が高まることで、病気の早期発見や治療方針の判断もスムーズに行えるというメリットがあります。
Point 07
大腸がん以外の病気の発見
大腸カメラ検査は大腸がんの早期発見だけでなく、潰瘍性大腸炎やクローン病など若い方に多い炎症性腸疾患の診断にも有効です。腹痛、便秘、下痢などの症状が続いている場合、その原因を特定するためにも内視鏡検査をおすすめします。適切な治療につなげることで症状の改善が期待できるため、我慢せず、早めにご相談いただくことが大切です。
Point 08
検査時間は最短15分で終了
当院では経験豊富な医師が検査を担当しており、特に問題がなければ大腸カメラ検査は最短15分で終了します。ポリープの切除が必要な場合でも、観察と処置を含めて15~30分程度で完了します。患者様の身体的・精神的負担を軽減するため、検査はできる限りスピーディーに、かつ丁寧かつ正確に行うことを心がけており、安心して検査を受けていただける体制を整えています。
Point 09
検査終了後に休憩してから帰宅できる
大腸カメラ検査後は、鎮静剤の効果が完全に切れるまで30分~1時間ほど安静が必要です。リカバリー室に仕切り付きのリクライニングソファを設けており、安心してお休みいただけます。十分に目が醒めた状態で医師から検査結果の説明を受けてからご帰宅いただけますので、検査後の体調にも配慮した万全の体制を整えております。
Point 10
検査後の説明も丁寧
検査後の説明は、鎮静剤の効果が十分に切れてから行います。検査中に撮影した画像を一緒に確認しながら、丁寧に結果をご説明いたします。異常が見られなかった場合は、2~3年に一度の定期検査をおすすめしています。ポリープを切除した場合は、約1週間で病理検査の結果が出ます。治療が必要と診断された際には、今後の治療方針についてもしっかりとご相談させていただきます。
Point 11
大腸カメラ検査だけでなく一般内科も診療可能
大腸カメラなどの消化器検査だけにとどまらず、風邪やインフルエンザ、高血圧・糖尿病などの生活習慣病といった一般内科の診療も行っています。勤務医時代に培った豊富な臨床経験を活かし、体調不良時の相談から病気の予防、継続的な健康管理まで幅広く対応可能です。ピロリ菌の検査・除菌や肝臓・膵臓・胆のうの疾患にも対応し、地域のかかりつけ医として総合的な医療を提供しています。
日帰りポリープ手術とは
当院では、検査中に大腸内でポリープが発見した場合、内視鏡での切除が可能と医師が判断すればポリープの切除を行います。小さなポリープの場合、その大半は開腹をしなくとも切除することが可能です。
内視鏡によるポリープ切除では、ワイヤー(高周波スネア)を投げ縄のようにしてポリープの根元に引っかけるようにして焼き切る方法とワイヤーを閉めて焼かずに切り取る方法の2つがあります。また小さなポリープについては、クリップ状の鉗子によってつまんで切除するといった方法で切除していきます。このほか隆起がわずかなポリープではワイヤーを引っかけることが困難なため、局所注射用の注射針でポリープの根元に生理食塩水や特殊な薬剤を注入し、盛り上げてから切除していきます。なお切除に要する時間は1個あたり3~5分程度になります。
ポリープ切除は開腹をしないのが利点でもあるわけですが、それでも手術に相当する内容です。したがってポリープ切除後は生活上の制限(食事、運動、入浴、アルコールなど)がいくつかありますので、医師の指示に従うようにしてください。また切除後に腹痛、吐き気、発熱、黒色便、肛門からの出血などが見られたという場合は、至急当院までご連絡ください。
大腸ポリープを切除された場合、生命保険の給付対象となる場合があります。契約されている保険会社へご確認下さい。給付対象であれば、保険会社指定の診断書を取り寄せてご持参下さい。診断書料金は1通¥5,000です。
01
潰瘍性大腸炎
大腸粘膜に原因が特定できないびらんや潰瘍の症状がみられている状態が潰瘍性大腸炎です。同疾患は、原因が判明されないことから非特異的炎症性腸疾患のひとつでもあります。一度発症すると寛解(病気の症状が、一時的あるいは継続的に軽減した状態)と増悪を慢性的に繰り返すようになります。なお原因不明とはなっていますが、ストレスが症状を悪化させる一因であることは分かっています。よくみられる症状は、腹痛、下痢、粘血便、発熱、体重減少といったものです。また世代に関係なく、若い世代からご年配の方まで幅広くみられますが、比較的20代に多く見受けられます。
検査としては、血液検査や便検査のほか、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)で大腸内の様子を確認していきます。その際は観察だけでなく炎症などの組織を採取して顕微鏡で詳細を調べる生検を行うなどして診断をつけていきます。
潰瘍性大腸炎と診断された場合、寛解を目指し、その状態を維持していくことが目的となります。基本は、5-ASA製剤、ステロイド、免疫抑制剤、生物学的製剤などを用いた薬物療法となります。ただ症状がひどい場合や合併症を発症(中毒性巨大結腸症、腸内の大出血 など)しているのであれば、外科的治療となります。この場合、大腸を全摘出して人工肛門を作る手術、便をためる回腸嚢を作って、それを肛門につなげる手術などが行われます。
潰瘍性大腸炎の長期経過例(10年以上)では癌化するリスクが高まるため、潰瘍性大腸炎と診断された際には定期的な大腸カメラ(大腸内視鏡検査)が必要となります。
02
クローン病
クローン病は、消化管内(口から肛門まで)であれば、どの部位にでも炎症を起こす可能性はありますが、多くは小腸や大腸で炎症します。発症の原因は特定できていないので、これも非特異的炎症性腸疾患のひとつに数えられますが、現時点では、免疫機能の異常によって起きるのではないかと考えられています。
主な症状は、腹痛、下痢、発熱、体重減少などで、10代後半から20代の方に発症することが多いです。肛門周囲に炎症のため膿がたまる肛門周囲膿瘍や、肛門周囲膿瘍が慢性化し直腸と皮膚をつなぐトンネルができる痔瘻も発症し特徴的な所見のひとつとされています。また、慢性的に炎症が持続することで狭窄(腸管が狭くなる)や、深い潰瘍により穿孔(腸に穴が開く)が起こる可能性もあります。
症状からクローン病が疑われるのであれば、血液検査や大腸カメラ(大腸内視鏡検査)によって診断をつけるようにします。クローン病と診断された場合は速やかに治療が行われます。ただ完治させることは困難なので寛解状態(病気の症状が、一時的あるいは継続的に軽減した状態)を維持させることが目的となります。
なお寛解にする治療法とは、大きく分けて生活指導と栄養療法と薬物療法になります。生活指導としては禁煙が極めて重要で、他には過労・睡眠不足・ストレスの回避、生活リズムの是正が必要です。治療法としては、サリチル酸塩製剤・ステロイド・抗TNF-α抗体製剤による薬物療法に成分栄養剤や消化態栄養剤を組み合わせた経腸栄養療法となります。重篤な症状と診断された、あるいは合併症(痔瘻、狭窄、穿孔 など)がみられる場合は外科的治療が検討されます。
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)の流れ
大腸内視鏡の検査を希望される場合、まず日時をご予約ください。その際に採血による感染症検査を行うこともあります。また糖尿病患者様で、経口血糖降下薬やインスリンなどの治療を受けている方や抗血栓薬(血をサラサラにする薬)を飲まれている方は事前にお申し出ください。これらを確認した後、同検査を受けるにあたっての注意点(検査前、検査時、検査後)を医師もしくは医療スタッフが丁寧に説明したします。
検査の流れ
大まかな流れですが、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)では観察しやすくするために腸内をきれいにする必要があります。そのため、検査前日の夜に下剤と検査当日の朝から腸管洗浄液(下剤)を服用し、排泄物が透明になるまで排便を繰り返していきます。腸内がきれいになったのを確認したら、検査衣に着替えて大腸カメラ(大腸内視鏡検査)となります。検査時の流れは以下の通りです。
腸の動きを抑える注射を投与
検査をしやすくするため、腸の動きを抑える注射を行います。同時に鎮静剤も投与していきます。
大腸内視鏡を挿入(検査の開始)
肛門から内視鏡を挿入していきますが、その際は左側を下にして検査台で横になります。
腸内を観察(生検、ポリープ切除 含む)
回盲部(小腸から大腸への移行部)まで挿入後、スコープを抜きながら大腸内部を隅々まで観察していきます。その際に医師が必要と判断すれば、病変が疑われる組織を一部採取する生検、発見したポリープを切除する日帰りポリープ手術も行われます。
検査終了
観察を一通り終えたら検査は終了。観察のみであれば15~30分程度です(個人差はあります)。
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)に関するよくある質問
健康診断で便潜血に陽性がでました。再検査を受けた方が良いでしょうか。
便潜血検査はそれほど精度が高くはありませんが、無症状の大腸がんを発見できる可能性があります。陽性であれば早期に大腸カメラ検査を受けられることをおすすめします。
大腸内視鏡の検査を希望される場合、まず日時をご予約ください。また、検査の前に受診もしていただく必要がございます。
大腸ポリープ、大腸がん、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)、大腸憩室症、虚血性腸炎などを発見できます。
検査に不安や痛みを感じやすい方は、使用をおすすめします。鎮静剤はリラックスした状態で検査が受けられ、炭酸ガスは検査後のお腹の張りや不快感も軽減されます。ただし鎮静剤を使用した場合、当日は車や自転車の運転ができません。
検査自体は15〜30分程度で終了します。検査に鎮静剤を希望される場合は、検査終了後はっきり目が醒めるまで30〜60分ほどリカバリー室で休んでいただきます。
検査のみの場合は、当日ご帰宅後の入浴(湯船に浸かる)も差し支えありません。ただし、検査中にポリープの切除を行った場合は、出血予防のため、数日間は湯船を避け、軽めのシャワー程度にとどめてください。
経口血糖降下薬やインスリンなどの治療を受けている方や抗血栓薬(血をサラサラにする薬)を飲まれている方は事前にお申し出ください。その他のお薬に関しても事前に医師やスタッフにお伝えいただくようお願いします。
一般的には40歳以上での定期検査を推奨しています。家族に大腸がんの既往がある方は早めの受診をおすすめします。
9000円くらいでポリープ切除した場合は手術になるため、費用はおおよそ25,000円~35,000円程度かかります。