「大腸内視鏡検査の費用はいくらかかるの?」
「大腸内視鏡検査の費用は健康保険が適用されるの?」
大腸内視鏡検査の費用は、健康保険が適用されるかどうか、そして検査中に生検やポリープ切除などの処置を行うかどうかで大きく変わります。
症状があり医師が必要と判断した場合は保険診療となり、3割負担なら観察のみで数千円程度から受けられます。
一方、症状がなく予防や人間ドックを目的に受ける場合は、自費診療となるため費用は高くなりがちです。
費用の仕組みや利用できる制度を事前に知っておけば、安心して検査に臨めるはずです。
今回は、「保険適用となる5つのケース」や「3割負担での費用の目安」「負担を軽減できる制度」などについて、わかりやすく解説していきます。
これから大腸内視鏡検査を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
ありずみ 消化器内科院長 有住忠晃ありずみ消化器内科では、消化器系の症状に関して診察が可能ですので、お気軽にご相談ください。

執筆者 有住 忠晃
近畿大学医学部を卒業後、近畿大学医学部消化器内科に入局し消化器内科を専門領域として最先端の診療・研究を実施。
その後、医療法人太雅会辻賢太郎クリニックにて消化器疾患や生活習慣病をはじめとした一般内科の診療・内視鏡検査に従事。
現ありずみ消化器内科院長。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は健康保険が適用される?
症状の有無と検査を受ける目的によって、保険診療と自由診療のどちらになるかが分かれます。
ここでは、どのような場合に保険が適用されるのか、その基本的な考え方を解説します。
症状や医師の判断があれば「保険適用」で受けられる
大腸内視鏡検査は、症状があり医師が必要と判断した場合には、健康保険が適用されます。
健康保険は病気やけがの検査・治療にかかる医療費を補助する制度であり、医療上の必要性があると医師が診断した検査はその対象になるためです。
たとえば血便や腹痛があるとき、または便潜血検査で陽性を指摘されたときは、診療の一環として保険診療で受けられます。
この場合の自己負担は原則3割で、年齢や所得に応じて1割・2割となる方もいらっしゃいます。
一方、症状がなく予防や人間ドックを目的に受ける場合は、原則として保険適用外の自費診療(自由診療)です。
同じ大腸カメラでも、受診のきっかけ次第で負担額が変わる点を覚えておきましょう。
参考:医療保険 |厚生労働省
保険適用となる5つのケース

大腸内視鏡検査が保険適用になるかどうかは、「医師が医療上必要と判断したか」が共通の判断基準になります。
ここでは、実際に保険が適用されやすい5つのケースを順番に確認していきましょう。
ご自身の状況がどれに当てはまるかをイメージしながら読み進めると、費用の見通しが立てやすくなります。
1. 血便・便秘・下痢などの「排便異常」がある場合
血便や便秘、下痢といった排便の異常がある場合は、保険適用で大腸カメラを受けられます。
これらは大腸がんやポリープ、炎症性腸疾患などのサインである可能性があり、医師が原因を調べる必要があると判断するためです。
たとえば便に血が混じる、便秘と下痢を繰り返す、便が細くなったといった変化は、消化器内科を受診するきっかけになります。
こうした自覚症状をもとに医師が検査の必要性を認めれば、保険診療として観察や生検が行われます。
参考:大腸がん(結腸がん・直腸がん):[国立がん研究センター]
2. 腹痛・お腹の張りなどの「腹部症状」が続いている場合
腹痛やお腹の張りなどの腹部症状が続いている場合も、保険適用の対象になります。
慢性的な腹部の不調は、大腸の炎症や腫瘍、機能の異常などが背景にあることがあり、内視鏡による確認が診断に役立つためです。
たとえば原因のはっきりしない腹痛が長引く、お腹の張りや違和感が改善しないといったときは、医師が大腸カメラを勧めることがあります。
診察のうえで検査の必要性が認められれば、保険診療として実施されます。
3. 健康診断(便潜血検査など)や人間ドックで「異常を指摘」された場合
健康診断や人間ドックの便潜血検査で陽性を指摘された場合は、保険適用となります。
便潜血陽性は大腸がんや前がん病変であるポリープによる微量の出血が疑われる状態で、二次的な精密検査としての大腸内視鏡検査は不可欠な医療行為とされるためです。
たとえ自覚症状がまったくなくても、検診で異常を指摘されたことをきっかけに受ける検査には健康保険が適用されます。
人間ドック自体は自費でも、要精密検査となった後の大腸カメラは保険診療に切り替わります。
4. 大腸ポリープや大腸がんの「既往歴」または「家族歴」がある場合
過去に大腸ポリープや大腸がんを指摘された方、または近親者に大腸がんがある方も、保険適用の対象となりやすいケースです。
ポリープを切除した後は再発の有無を確認する経過観察が必要であり、家族歴がある場合は発症リスクが高いと考えられるため、医師が定期的な検査を必要と判断します。
たとえば数年前にポリープを切除した、親や兄弟に大腸がんの経験者がいるといった場合は、医師の判断で保険診療として検査が行われます。
リスクの有無に応じて適切な頻度で受けることが望まれます。
5. 潰瘍性大腸炎など「炎症性腸疾患」の診断や経過観察が必要な場合
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患では、診断や経過観察のための大腸内視鏡検査が保険適用となります。
これらの病気は腸の粘膜に慢性的な炎症を起こし、症状の程度や治療の効果を確認するために定期的な観察が欠かせないためです。
たとえば下痢や血便が続いて炎症性腸疾患が疑われるとき、または診断後に病状の変化を確認するときに、医師の判断で検査が行われます。
治療方針を決めるうえでも、粘膜の状態を直接見る大腸カメラは重要な役割を果たします。
大腸内視鏡検査にかかる費用の目安(3割負担の場合)
大腸カメラの費用は、観察だけで終わるか、生検やポリープ切除といった処置を行うかによって変動します。
ここでは3割負担を中心に、検査だけの場合から処置を含む場合まで、費用のイメージをつかんでいきましょう。
検査のみ・組織検査(生検)・ポリープ切除ごとの自己負担額
大腸内視鏡検査の費用は、検査内容によって段階的に高くなるのが基本です。
観察のみで終わる場合と、組織を採取する生検や日帰り手術にあたるポリープ切除を行う場合とでは、算定される点数が大きく異なるためです。
盲腸まで観察する大腸カメラの基本点数は1,550点(15,500円)で、3割負担では約4,650円が目安になります。
内視鏡的なポリープ切除術は手術として扱われ、長径2cm未満で5,000点、2cm以上で7,000点が加算されます。
| 検査内容 | 3割負担の費用目安 |
|---|---|
| 観察のみ | 約5,000〜8,000円 |
| 生検あり(組織採取) | 約8,000〜15,000円 |
| ポリープ切除あり | 約20,000〜30,000円 |
実際の金額は処置の個数や部位、使用する薬剤によって前後するため、目安としてご確認ください。
診察料やお薬代(下剤など)、検査費用以外にかかる費用
大腸カメラでは、検査そのもの以外にも複数の費用がかかる点に注意が必要です。
検査を安全に行うための診察や前処置が欠かせず、それぞれに保険点数が設定されているためです。
初めて受診する医療機関では初診料が約890円(3割負担)、受診歴があれば再診料が約230円(3割負担)かかります。
検査前に腸をきれいにする下剤は3割負担で約570〜680円が一般的で、必要に応じた採血などの事前検査も加わります。
- 初診料・再診料(問診や検査の説明にかかる費用)
- 下剤などの薬剤費(腸内をきれいにする前処置)
- 採血などの事前検査(持病や内服薬の確認)
- 病理検査料(採取した組織の顕微鏡での検査)
これらを含めると、検査費用に1,000〜2,000円程度が上乗せされるのが一般的です。
1割負担・2割負担となる方の費用目安
自己負担割合が1割や2割の方は、3割負担より費用を抑えて検査を受けられます。
保険診療の費用は全国共通の点数で決まっており、最終的な支払額はその点数に自分の負担割合を掛けて算出されるためです。
たとえば3割負担で約4,650円の検査は、2割負担なら約3分の2、1割負担なら約3分の1が目安になります。
観察のみであれば、2割負担でおおよそ4,000〜6,000円程度におさまるケースが多く見られます。
| 負担割合 | 観察のみの費用目安 |
|---|---|
| 3割負担 | 約5,000〜8,000円 |
| 2割負担 | 約4,000〜6,000円 |
| 1割負担 | 約2,000〜3,000円 |
ご自身が何割負担になるかを事前に把握しておくと、当日の支払いも安心です。
鎮静剤(眠れる内視鏡)を使用する場合の追加費用
鎮静剤を使った「眠れる内視鏡」を希望する場合は、別途わずかな追加費用がかかります。
内視鏡の挿入時に痛みや違和感を感じる方がいるため、苦痛を和らげる目的で鎮静剤を使用することがあり、その薬剤費が加算されるためです。
費用は使用する種類や量によって変わりますが、3割負担でおおむね100〜1,000円程度、目安としては約500円とされています。
医療機関によっては、鎮静剤の使用で総額が1,000円ほど高くなる例もあります。
- ウトウトしている間に検査が終わり、苦痛を大きく軽減できる
- 痛みへの不安が強い方や、リラックスして受けたい方に向いている
- 検査後はしばらく休んでから帰宅するため、当日の車の運転は避ける
費用と快適さのバランスを考え、使用するかどうかを医師と相談して決めましょう。
費用の負担を軽減するための制度や給付金
大腸内視鏡検査でポリープ切除などを行うと、費用がやや高くなることがあります。
しかし、日本にはこうした医療費の負担を軽くするための制度がいくつも用意されています。
ここでは、民間医療保険の給付金、医療費控除、高額療養費制度という3つの仕組みを解説します。
民間医療保険の「手術給付金」が受け取れるケースとは?
大腸カメラでポリープを切除した場合、加入している民間の医療保険から手術給付金を受け取れる可能性があります。
内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(K721)は診療上「手術」として扱われ、多くの医療保険が公的保険の手術料に連動して給付対象を判断するためです。
一方、観察や生検のみの検査は「治療ではない」と判断され、原則として給付対象外です。
給付の可否は契約内容によって異なります。
切除を受けた際は、加入中の保険会社や担当者に手術給付金の対象になるかどうか確認しましょう。
通院時の交通費も合算できる「医療費控除」の仕組み
1年間の医療費が一定額を超えた場合は、医療費控除で税金の一部が戻ってくる可能性があります。
大腸カメラの検査費に加えて、公共交通機関を使った通院の交通費も対象に含められます(自家用車のガソリン代や駐車場代、タクシー代は原則対象外)。
生計を一にする家族の医療費は合算でき、控除の上限は200万円です。
- 治療目的の検査が対象で、予防目的の人間ドックは原則対象外
- 保険の給付金や高額療養費で補てんされた分は差し引いて計算する
- 申告には確定申告(翌年2月16日〜3月15日)が必要
領収書や交通費のメモを保管しておくと、申告がスムーズになります。
参考:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁
医療費が高額になった際に利用できる「高額療養費制度」
ポリープ切除などで医療費が高額になっても、高額療養費制度を使えば自己負担に上限が設けられます。
この制度は、1か月(1日〜末日)に支払った保険診療の自己負担額が、所得に応じた限度額を超えた分を後から払い戻す仕組みだからです。
たとえば年収約370〜770万円の方の限度額は、現行で「80,100円+(医療費−267,000円)×1%」が目安となります。
事前に「限度額適用認定証」やマイナ保険証を窓口で提示すれば、最初から支払いを限度額までに抑えることも可能です。
なお、2026年8月からは、この限度額が段階的に引き上げられる予定です。
最新の自己負担限度額は、加入している健康保険組合や協会けんぽ、市区町村の窓口で確認しておくと安心です。
大腸内視鏡検査の費用に関するよくある質問
ここまで解説した内容をふまえ、大腸内視鏡検査の費用について多く寄せられる質問をまとめました。
大腸がんの検査は保険適用ですか?
症状や医師の判断がある大腸がんの検査は、健康保険が適用されます。
日本の公的医療保険は病気の診断や治療を目的とした医療行為を対象としており、がんが疑われる症状や便潜血陽性などをきっかけに行う検査は、不可欠な医療行為とみなされるためです。
一方、症状がなく純粋に予防目的で受ける人間ドックの大腸カメラは、原則として自費診療となります。
検査中にポリープなどが見つかり切除した場合は、その処置部分が保険診療に切り替わることもあります。
大腸内視鏡検査の費用は生命保険から給付金を受け取れますか?
検査のみの場合は原則として給付金は出ませんが、ポリープ切除を行った場合は対象になる可能性があります。
民間の生命保険や医療保険は、病気やけがの治療を目的とした入院や手術に対して給付金を支払う設計になっているためです。
内視鏡を使ったポリープ切除は「手術」として扱われるため、手術給付金や日帰り手術特約の対象になりやすい処置です。
反対に、観察だけ、または生検(組織採取)のみの場合は「検査」と判断され、給付されないことが一般的です。
人間ドックで大腸内視鏡検査を受けると費用はいくらになりますか?
人間ドックで受ける大腸カメラは自費診療となり、おおむね2〜3万円程度が相場です。
症状がない方が予防や健康管理のために任意で受ける検査は健康保険の対象外となり、料金は医療機関が自由に設定するためです。
大腸カメラ単独ではおよそ15,000〜30,000円、胃カメラとセットの「胃大腸カメラ」では45,000円前後が目安になります。
人間ドックのオプションとして追加すると、単独より割安になる場合もあります。
検査中にポリープが見つかって切除や生検を行ったときは、その処置が保険診療に切り替わることがあります。
健康診断で大腸内視鏡検査を受けた場合、費用はいくらかかりますか?
健康診断の一環として症状がない状態で受ける場合は、原則として自費診療になります。
予防目的の検査は保険適用外となり、費用は医療機関ごとの料金設定に従うためです。
自費の場合の大腸カメラはおおよそ15,000〜30,000円程度が目安で、別途で診察料や下剤代などがかかることもあります。
一方、健診の便潜血検査で陽性となり、精密検査として大腸内視鏡検査を受ける場合は保険適用です。
まとめ
大腸内視鏡検査の費用は、保険適用かどうかと検査中の処置内容によって大きく変わります。
予防目的の人間ドックや健康診断では自費診療となり、2〜3万円程度が相場になります。
費用が高くなった場合でも、民間医療保険の手術給付金、医療費控除、高額療養費制度といった仕組みで負担を軽減できます。
大腸がんは早期に発見できれば治療効果が高い病気であり、検査費用は将来の安心につながる備えとも言えます。
気になる症状がある方や検診で異常を指摘された方は、消化器内科や専門のクリニックへ早めに相談してみてください。



