胃カメラを受ける頻度は、健康な方であれば50歳以上を目安に2年に1回が基本です。
ただし、ピロリ菌の感染歴がある方や胃の病気を指摘された方は、年1回など、より短い間隔で検査を受けたほうがよい場合があります。
胃カメラは胃がんの早期発見に役立つ検査ですが、必要以上に頻繁に受けると、身体的・経済的な負担が増える可能性もあります。
一方、胃痛や胸やけ、黒い便、原因不明の体重減少などの症状がある場合は、次の検診を待たずに医療機関を受診することが大切です。
この記事では、胃カメラを受けるべき頻度を年代別・状態別に解説します。
バリウム検査との違いや、必要以上に頻繁に受けるメリット・デメリットも紹介するので、ご自身に合った検査間隔を考える際の参考にしてください。
院長 有住忠晃ありずみ消化器内科では、鎮静剤や経鼻内視鏡を活用し、苦痛に配慮した胃カメラ検査を行っています。不安がある方もお気軽にご相談ください。

執筆者 有住 忠晃
近畿大学医学部を卒業後、近畿大学医学部消化器内科に入局し消化器内科を専門領域として最先端の診療・研究を実施。
その後、医療法人太雅会辻賢太郎クリニックにて消化器疾患や生活習慣病をはじめとした一般内科の診療・内視鏡検査に従事。
現ありずみ消化器内科院長。
胃カメラは何年ごとに受けるべき?検査間隔の目安

症状のない健康な方が胃がん検診として胃カメラを受ける場合、目安は「2年に1回」です。
これは、胃カメラが胃がんによる死亡率を下げる科学的根拠のある検査として認められているためです。
実際に胃カメラによる検診を受けた人は、受けていない人に比べて胃がんの死亡率が47%減少したという報告もあります。
一方で、ピロリ菌に感染している方や胃炎を指摘された方は、2年に1回よりも短い間隔での検査がすすめられるケースがあります。
まずは一般的な目安として「2年に1回」を基準に考え、ご自身の状態に応じて主治医と相談しながら頻度を調整していくことが大切です。
参考:胃がん検診|検診の種類|がん検診について|がん対策推進企業アクション
【年代別】胃カメラを受ける頻度の目安
胃がんにかかる人は50歳代以降に多くなることから、国の検診も50歳以上を対象に設定されています。
ただし、若い世代でもピロリ菌感染や症状があればリスクは変わるため、年齢だけで判断しない姿勢も重要です。
| 年代 | 検査頻度の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 20〜30代 | 一度は受けておくと安心 | ピロリ菌感染の確認を優先 |
| 40代 | 1〜2年に1回を検討 | リスクが上がり始める時期 |
| 50代以上 | 2年に1回が基本 | 国の検診対象年齢 |
まずは一度検査を受け、ご自身のリスクを把握することから始めましょう。

【状態別】胃カメラ検査を受けるべき適切な頻度
適切な検査間隔は、胃の状態やピロリ菌の有無によって大きく変わります。
ここでは代表的な5つのケースごとに、推奨される頻度の目安を解説していきます。
1. ピロリ菌に感染している方(未除菌の場合)
ピロリ菌に感染したまま除菌していない方は、1年に1回の胃カメラがすすめられます。
ピロリ菌は胃の粘膜を傷つけ続け、慢性胃炎や萎縮性胃炎を引き起こし、胃がんの発生母地をつくるためです。
感染が確認された場合は、まず除菌治療を受けることが胃がん予防の第一歩になります。
アレルギー等の理由で除菌治療ができない場合や、未除菌のまま過ごされている方は胃がんリスクが高い状態が続くため、年1回の定期的な胃カメラ検査で早期発見につなげることが重要です。
参考:胃がん 予防・検診:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

2. ピロリ菌の除菌治療が完了している方
除菌が成功した方も、原則として1年に1回の定期的な胃カメラ検査がすすめられます。
除菌によって胃がんのリスクは下がりますが、感染期間中に生じた胃粘膜の変化(萎縮など)はすぐには元に戻らないため、完全にリスクがゼロになるわけではありません。
実際に除菌後でも胃がんが発見されるケースがあるため、油断せず検査を続けることが大切です。
除菌後に見つかる胃がんは平坦で発見しにくいことも多く、油断は禁物です。
3. ピロリ菌未感染で、慢性胃炎などの異常がない方
ピロリ菌に感染しておらず胃に異常もない方は、胃がんの発生リスクが比較的低いため、国の指針通り「50歳以降、2年に1回」を目安に検診を受けると安心です。
ただし、喫煙や塩分の摂りすぎなどピロリ菌以外のリスク要因もあるため、「ピロリ菌が陰性なら絶対に胃がんにならない」というわけではありません。
リスクが低いとはいえ全く受けなくてよいわけではないため、定期的な検診は続けましょう。
4. 胃ポリープを指摘された・切除した経験がある方
胃ポリープを指摘された方は、その種類に応じて定期的な経過観察が必要です。
ポリープには良性のものから、まれにがん化するものまであり、タイプによって対応が変わるためです。
- 胃底腺ポリープ:多くが良性で、基本は経過観察
- 過形成性ポリープ:出血することがあり、大きいとがん化の可能性
- 腺腫性ポリープ:がん化リスクが高く、切除を検討
過形成性ポリープと腺腫性ポリープは、大きさや形によっては内視鏡的切除が検討されます。
切除した後も再発や新たな病変の有無を確認するため、医師の指示に従った定期検査が欠かせません。
指摘を受けた方は自己判断で中断せず、年1回など指示された間隔で検査を受けましょう。
5. 逆流性食道炎や胸焼け・胃もたれの症状がある方
逆流性食道炎や胸焼けの症状がある方は、医師の指示に沿った定期的な胃カメラが望ましいです。
炎症を繰り返すと「バレット食道」に進行し、食道がんのリスクが高まる場合があるためです。
特に注意したいのがバレット食道で、3cm以上のバレット食道がある場合は、年1回の胃カメラ検査で経過を観察していくことが一般的です。
症状が落ち着いても自己判断で検査をやめず、経過を見守ることが大切です。
胸焼けや胃もたれが続く方は、一度消化器内科で相談してみてください。
院長 有住忠晃ありずみ消化器内科では、鎮静剤や経鼻内視鏡を活用し、苦痛や不安に配慮した胃カメラ検査を行っています。

胃カメラを受けたほうがよい症状とは?

検査の間隔にかかわらず、気になる症状があるときは次の検診を待たずに受診することが大切です。
胃がんは早期には自覚症状が出にくい一方、以下のようなサインが隠れた病気の手がかりになることがあります。
当てはまる症状がある方は、早めに胃カメラを検討しましょう。
胃痛・胃もたれ・胸やけが続く
胃の痛みやもたれ、胸やけが続く場合は、早めに胃カメラを受けることをおすすめします。
これらは胃炎や胃潰瘍、逆流性食道炎など、さまざまな病気のサインである可能性があるためです。
市販薬で一時的に症状が和らいでも、原因そのものが解決したとは限りません。
症状が長引くときは、我慢せず消化器内科で原因を調べてもらいましょう。
吐き気や食欲不振がある
はっきりした理由がないのに吐き気や食欲不振が続く場合も、胃カメラで確認しておくと安心です。
こうした症状は胃の炎症や潰瘍だけでなく、胃がんなどが背景に隠れていることもあるためです。
検診はあくまで症状のない方を対象としたスクリーニングであり、症状がある場合は診療の対象になるからです。
「食欲がない」「すぐ満腹になる」といった変化も、体からのサインかもしれません。
黒い便や吐血などの症状がある

黒いタール状の便や吐血がみられる場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。
これらは胃や食道からの出血を示すサインであり、胃潰瘍やがんなどが疑われるためです。
胃で出血した血液は消化されると黒く変化し、黒色便となって現れます。
胃カメラであれば、出血している場所をその場で確認できる場合もあります。
黒い便や血を吐くといった症状に気づいたら、すぐに消化器内科を受診しましょう。
体重減少や貧血を指摘された
思い当たる理由がないのに体重が減ったり、健診で貧血を指摘されたりした場合も注意が必要です。
胃がんや慢性的な胃からの出血が、こうした変化の原因になっていることがあるためです。
ポリープからの出血が続いて、知らないうちに貧血が進んでいるケースもあります。
ダイエットをしていないのに体重が落ちるときは、体からの重要なサインと考えましょう。
健診で貧血や体重減少を指摘されたら、一度胃カメラで原因を調べることをおすすめします。
胃カメラは毎年受けると「やりすぎ」?頻繁に受けるデメリット
症状がなくリスクも低い方の場合、毎年の胃カメラは必ずしも必要ではありません。
どんな検査にも「不利益(デメリット)」があり、やみくもに頻度を上げればよいわけではないためです。
国の案内でも、胃部X線検査と胃内視鏡検査を毎年交互に行うことは不利益が大きいため推奨されていません。
- 検査に伴う偶発症(出血など)のリスクがあります
- のどや鼻への負担、検査時の苦痛が生じます
- 時間的・経済的なコストが増加します
ただし、ピロリ菌感染者や病変を指摘された方は、年1回の検査が適切な場合もあります。
「多ければ安心」と考えず、自分のリスクに合った間隔を主治医と決めることが大切です。
参考:胃がん検診について:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]
バリウム検査と胃カメラは何が違う?それぞれの推奨頻度

胃がん検診には胃カメラとバリウム検査の2種類があり、それぞれ特徴と推奨頻度が異なります。
どちらも胃がんの死亡率を下げる効果が認められていますが、調べ方や精度に違いがあるためです。
| 比較項目 | 胃カメラ(内視鏡検査) | バリウム検査(胃部X線検査) |
|---|---|---|
| 調べ方 | カメラで胃の中を直接観察する | 造影剤を飲み、胃の形を撮影する |
| 早期がんの発見 | 得意で、小さな病変も見つけやすい | やや苦手で、小さな病変は写りにくい |
| その場での生検 | 可能で、一度の検査で確定診断まで進める場合がある | できないため、異常があれば後日胃カメラが必要 |
| 推奨頻度の目安 | 50歳以上で2年に1回 | 40歳以上で年1回など |
| 主な負担 | 挿入時の苦痛や、まれな出血 | 放射線被ばくや、検査後の便秘 |
バリウム検査で異常が見つかった場合は、結局胃カメラを受けることになるため、最初から胃カメラを選ぶほうが効率的な場合もあります。
苦痛の少なさを優先するか、精度を優先するかで選ぶとよいでしょう。
まとめ
胃カメラを受ける頻度は、健康な方であれば50歳以上を目安に2年に1回が基本です。
ただし、ピロリ菌の感染歴がある方や胃ポリープなどの異常を指摘された方は、年1回など、より短い間隔での検査が必要になる場合があります。
また、胃痛や胸やけ、黒い便、原因不明の体重減少などの症状がある場合は、次の検診を待たずに医療機関を受診することが大切です。
まずは、ご自身の年齢や胃の状態、ピロリ菌の感染歴を確認し、適切な検査間隔について消化器内科の医師に相談しましょう。


