「大腸がんの初期症状はどこをチェックすればいい?」
「大腸がんに気づくきっかけには何がある?」
大腸がんに気づくきっかけとなりやすいのは、便です。
大腸がんは自覚症状に乏しい病気であり、腹痛や吐き気、胃痛といった症状は進行しないと現れません。
しかし、便の形や色、頻度などを細かく観察すると、大腸がんを初期段階で気づくことができるかもしれません。
この記事では大腸がんの初期症状について紹介しています。
- 大腸がんの基礎知識
- 大腸がんの症状
- 大腸がんの原因と対策
大腸がんとは?
大腸がんとは、名前のとおり大腸に発生するがんです。
早期段階では症状がほとんどないので進行に気づきにくく、症状が出る頃にはがんの進行が進んでいることも珍しくありません。
そんな大腸がんは、患者数が年々増えていることでも知られています。
国立研究開発法人国立がん研究センターの統計では2000年代には大腸がん患者が14万人に上り、1970年代のおよそ7倍の発見が報告されています。
ここでは、そんな大腸がんの基礎的な知識を紹介しましょう。
大腸がんの症状について
大腸がんの症状は、主に便の異常や貧血、体重の大幅な減少や腹痛などが挙げられます。
まず便ですが、がんが進行すると、下痢と便秘が交互に発生し、便の大きさも変わります。
これは腫瘍が大きくなるにつれて内腔が狭くなるため、便も圧迫されることで細くなったり、細かくちぎれてしまうからです。
腫瘍が大きく、増殖するにつれ、食欲の減少や代謝の異常、それに伴う体重減少が発生します。
そして、最終的に体が衰弱し、死を迎えてしまいます。
大腸がんの恐ろしいところは、初期段階の時点では、体の異常に気づきにくいことです。
大腸がんは、初期段階で適切な治療を行えば90%以上の確率で助かるとされています。
しかし、その初期段階では症状がほぼないので、発見が遅れやすいです。
そのため、大腸がんの進行を未然に防ぐためには定期的な診断が欠かせません。
大腸がんに気づくきっかけは便通が多い
大腸がんに気づく主なきっかけは、便通です。
上述したように、便通は大腸がんの症状の一つであり、便秘と下痢を交互に繰り返す他、便の形の変形や血便も胃腸の異常のサインとして現れます。
血便は、出血箇所によって色が異なり、胃腸からの出血の場合、便は赤黒くコールタールのような色になります。
もし赤黒い便が続く場合、胃痛や下痢・便秘でなくても病院で相談しましょう。
赤黒い便が出れば必ずしも大腸がんだとは限りませんが、出血が続いている場合、胃腸に何らかの問題が発生している可能性があるからです。
大腸がんの原因には何がある?
大腸がんの発症には、生活習慣や遺伝的要因が大きく関与します。
大腸がんのリスクが上昇する生活習慣をまとめると、以下のものが挙げられます。
問題のある生活習慣 | 詳細 |
---|---|
食生活 | 高脂肪、低食物繊維の食習慣 |
睡眠時間 | 平均睡眠時間が6時間以下の場合 |
運動・嗜好品 | 運動不足や過度な喫煙、飲酒が日常的に行われている場合 |
食習慣の変化は、大腸がんの罹患率増加に関係ある原因の一つと考えられています。
肉食中心になったことで、腸内細菌の悪玉菌が優位な環境を作りやすくなった影響が関係すると考えられているからです。
また、睡眠時間については過去に研究・統計を取った結果、6時間以下の場合がん発症リスクが40%増加するという結果が報告されています。
運動不足や喫煙、飲酒については代謝の低下や胃腸への負担の増加が関係します。
さらに、家族に大腸がん患者がいる場合、遺伝的なリスクが高まることが知られているため、家族や親戚にがん患者がいないかどうかは調べておいたほうが良いでしょう。
大腸がんの症状をチェック
大腸がんの症状は、他のがんと同じく5つのステージに分類されます。
ステージ | がんの状態 |
---|---|
ステージ0 | がん細胞が粘膜に発生している状態。ごく初期の段階 |
ステージⅠ | がん細胞が筋肉層まで進行している状態。若干進行した段階 |
ステージⅡ | がん細胞が浸潤し筋肉層を超え始めた段階。ここまで進行すると転移のリスクが発生する |
ステージⅢ | がん細胞がさらに浸潤した状態。リンパ節の転移も発生し、他の部位に転移するリスクが増大 |
ステージⅣ | がんが他の臓器に転移・発生した状態。いわゆる末期がん |
がんは、ステージ1の段階までに発見・治療を行えば5年間の生存率は80%を超えるとされています。
しかし、ステージ2まで進行した場合、5年間の生存率は50%にまで減少してしまうのです。
大腸がんで自覚症状が出やすいのはステージⅡからですが、それ以外にもステージ0~1でも異常のサインは発生しています。
ここでは、大腸がんの代表的な自覚症状について段階別に紹介しましょう
初期段階の症状
ステージ0~1の場合、上述したように自覚症状はほぼありません。
腫瘍そのものが非常に小さく粘膜内でのみ発生しているため、まだ体に影響を与えるほどのサイズになっていないからです。
しかし、ステージ1になると血便の頻度が増えたり、下痢、あるいは便秘を繰り返すこともある他、お腹の調子が悪くなることもあります。
しかし、深刻な症状でないことが多いため、単なる下痢や便秘と判断してしまうことが多いです。
進行が進むと発症しやすくなる症状
粘膜を超えて筋肉層にまで達するステージⅡ移行すると、ようやく自覚症状が顕著になり始めます。
上述した下痢や便秘の繰り返し、血便の発生の他、便の形状が細くなる他強い腹痛や嘔吐感、膨満感が発生します。
これは、大きくなった腫瘍が腸閉塞を引き起こすためです。
ステージ2段階ならまだ転移の可能性も極めて低いため、外科手術でがん細胞を摘出すれば生存率は高くなります。
しかし、ステージⅢまで進行した場合、転移の可能性もあるため、術後も注意しなければなりません。
大腸がんが進行して転移が進んだ場合の症状
大腸がんから体の各部に転移したステージⅣまで進行した場合、部位別の症状が発生します。
たとえば、骨に転移した場合には、下半身不随の症状が発生します。
これは、がん細胞が脊髄を傷つけてしまう為に起きる症状です。
他にも、肺に転移していれば呼吸困難、肝臓に転移していれば黄疸といった症状が発症してしまうでしょう。
この場合、外科手術以外にも化学療法や放射線療法といった様々な手段を用いて治療することになります。
セルフチェックで大腸がんのリスクを調べる
大腸がんの早期発見には、セルフチェックが有効です。
日常的に健康状態を観察し、異常があれば速やかに専門医の診察を受けることが重要です。
以下に、簡易的なセルフチェック表を作成しました。
当てはまるものがないかを確認しましょう。
チェック項目 | 有無 |
---|---|
排便習慣の変化 | 便秘と下痢を繰り返す。 便が細くなったり、形状が変わる。 排便後も残便感がある。 |
便の異常 | 便に血液や粘液が混じる。 黒っぽい便が出る。 |
腹部の症状 | 腹痛や腹部の張り、違和感がある。 お腹が張ったり、痛みや重だるさを感じる。 |
全身の症状 | 原因不明の体重減少がある。 貧血の症状(めまい、立ちくらみ、疲れやすさ)がある。 |
生活習慣 | 運動不足である。 野菜や果物をあまり摂取しない。 肉類や加工肉を頻繁に摂取する。 飲酒や喫煙の習慣がある。 肥満である。 |
家族歴 | 家族に大腸がんを患った人がいる。 |
これらで複数当てはまるものがある場合、病院の診断をおすすめします。
大腸がんは初期段階で発見することが重要
大腸がんは、初期段階で発見・治療することが重要です。
ステージ0で治療した場合、5年以内の生存率は99%、ステージ1の段階でも85%と極めて高いのですが、ステージⅡ以降は50%と大幅に減少するからです。
ここでは、初期段階で治療するための方法を紹介しましょう。
大腸がんは初期段階の場合進行速度が遅い
初期段階の大腸がんは、進行速度が極めて遅いことで知られています。
具体的にいえば、ステージ0から1に進行するのに年単位かかるとされています。
しかし、ステージ1から2に移行するのに半年単位、そしてステージ3から4に移行するのは一ヶ月単位と、進行するにつれ症状も急激に悪化するため、できる限り早期発見・早期治療が好ましいです。
消化器内科で受けられる大腸がんの検査
大腸がんの検査は、消化器内科で行うことになります。
消化器内科とは、胃腸の治療に特化した内科のことです。
消化器内科では、大腸がんを発見するために便潜血検査や大腸内視鏡検査を実施します。
便潜血検査では、便中の微量な血液を検出し、大腸がんの兆候を判断します。
便潜血検査は若干正確性が疑問視されていますが、2日分の便を調べることで85%の確率で病変の判断が可能です。
より精密な検査をする場合、内視鏡検査が行われます。
いわゆる、胃カメラ検査と呼ばれるものです。
大腸内視鏡検査では、直接腸内を観察し、ポリープや異常を発見できます。
直接カメラで見ることができるので便潜血検査よりも正確性に優れ、初期段階の大腸がんでも見つけられます。
また、病院では内視鏡検査をしつつ、そのままがんを摘出できるので患者に負担をかけずにがん治療が可能です。
しかし、内視鏡手術で摘出できるがんは初期段階の微小な腫瘍のみです。
定期的な内視鏡検査は大腸がんに気づくきっかけになる
大腸がんを初期段階で発見・治療するためには、内視鏡検査は必須です。
大腸がんはステージ0~1の初期段階では自覚症状に乏しく、よほど注意深くなければ自覚症状だけで判断するのはほぼ不可能です。
しかし、内視鏡検査を行えば大腸がんは発見しやすく、ごく初期段階なら摘出もできます。
加えて、大腸がんの進行速度は年単位のため、年に一回の内視鏡検査を行えば、ステージⅡに進行前に発見・治療が行えるので生存率は大きく上がります。
まとめ
この記事では、大腸がんに気づくきっかけや症状、進行度合いなどを紹介しました。
大腸がんは早期発見が鍵となる病気であり、初期症状を見逃さないことが重要です。
便通異常や血便、腹痛などの異常が続く場合は、早めに医療機関での検査を受けましょう。
定期的な検査を受けることで、大腸がんの予防と早期治療が可能になります。
自治体によっては助成制度が充実しており、安価で内視鏡検査が受けられるかもしれません。
40歳をすぎると発症リスクが高くなるといわれているので、40を過ぎたら定期的な内視鏡検査を心がけましょう。