「胃カメラ検査ってどのくらい費用がかかるの?」
「保険適用と自費診療で違いってあるの?」
胃カメラの検査は保険が適用される場合とされない場合があり、保険が適用された場合、数千円程度で胃カメラ検査が可能ですが、自費診療の場合1万円を超える可能性は高くなります。
この記事では、胃カメラ検査の費用について、保険適用の条件や自己負担額の目安、自費診療の場合の相場まで詳しく解説します。
また、検査の流れやクリニックの選び方についても紹介するので、安心して検査を受けるための参考にしてください。
- 胃カメラ検査の費用
- 胃カメラ検査の基礎知識
- 胃カメラ検査を行う場合のクリニックの選び方

ありずみ消化器内科では、消化器系の症状に関して診察が可能ですので、お気軽にご相談ください。
胃カメラ検査の費用:保険適用の場合
胃カメラ検査は、症状がある場合あるいは診察した結果「検査の必要がある」と医師が判断した場合、保険が適用されます。
ここでは、保険が適用される条件や自己負担額の目安について詳しく解説します。
保険が適用される条件
上述したように、胃カメラ検査が保険適用となるのは、医師が診察の結果、検査の必要性を認めた場合です。
例えば、以下のようなケースでは保険が適用されます。
症状 | 理由 |
---|---|
胃痛や胸やけ、吐き気などの症状がある場合 | 胃炎や胃潰瘍といった消化器系の疾患の疑いがあるため |
ピロリ菌感染が疑われる場合 | がんのリスクが発生しているため |
健康診断や人間ドックで異常が見つかり、精密検査が必要とされた場合 | 現在の胃腸の様子を確認するため |
胃がんや胃潰瘍の疑いがある場合 | 病状確認のため |
逆流性食道炎などの症状が慢性的に続く場合 | 症状の進行を確認するため |
基本的に、病院で診察した結果、胃腸に異常がある疑いがある場合は胃カメラ検査は保険が適用されます。
自己負担額の目安
保険適用で胃カメラ検査を受ける場合、自己負担額は本来の費用の3割です。
胃カメラ検査が保険適用される場合、主な費用相場は以下のとおりです。
検査項目 | 3割負担の場合の費用 |
---|---|
胃カメラ検査のみ | 約4,500~7,000円 |
組織採取(生検)あり | 約7,000~10,000円 |
鎮静剤使用 | 上記検査費用に1,000~3,000円追加 |
病理検査が必要な場合 | 上記検査費用に5,000~8,000円追加 |
これら費用はあくまでも相場であり、検査内容や医療機関によって金額は変動します。
また、自治体によっては助成制度を利用できる可能性があります。
年齢による制限はありますが、40代以上の場合更に安価で胃カメラ検査を受けられる可能性があるので、自治体の助成制度はチェックしておいて損はないでしょう。
胃カメラ検査の費用:自費診療の場合
健康診断の一環や人間ドックで胃カメラ検査を受ける場合は、自費診療となります。
自費診療では、保険が適用されないため全額自己負担となりますが、より精密な検査や最新の技術を活用した診断が可能です。
ここでは、自費診療となるケースとその費用相場について詳しく解説します。
自費診療となるケース
自費診療となるケースは、自己判断で検査を依頼するケースが主になります。
具体的には以下の場合、自費診療になります。
条件 | 詳細 |
---|---|
健康診断の一環として受ける場合 | 異常があると診断を受ける前のため、適用されず |
保険証を持参せずに受診する場合 | 保険加入の証明ができないため、適用外(後日持参で差額の払い戻しを受けられる可能性あり) |
最新の設備や高度な検査技術を希望する場合 | 国の認可が降りていない場合、適用外 |
通常の診療時間外に検査を受ける場合 | 正確には保険は適用されるが、病院が定めた追加料金が発生する可能性あり |
基本的に、医師が異常アリと診察する前の胃カメラ検査はすべて治療と関係していないため、保険適用外になります。
また、最新技術や設備によっては国が「医学的効果あり」と認めていない場合、医療行為に該当しないため、保険が適用されません。
なお、保険が適用されるものとされないものを並行して行う場合「混合診療」という扱いになり、保険が適用されるものも適用外扱いになり、全額自己負担となります。
自費診療の費用相場
全額自己負担の場合の胃カメラの費用相場は、主に以下のとおりです。
検査項目 | 全額負担の場合の費用 |
---|---|
胃カメラ検査のみ | 約10,000~20,000円 |
組織採取(生検)あり | 約20,000~70,000円 |
内視鏡手術を行う場合 | 約60,000~100,000円 |
人間ドックで検査を行う場合、胃カメラ検査も含め4~5万円ほどの検査費用が発生します。
基本的に、胃カメラによる検査は体に異常がない時を除けば1年に1回程度でも問題ありません。
また、上述したように自治体によっては助成制度があるので、そちらを活用しましょう。
自費診療のメリットとデメリット
このように、全額自己負担した場合、胃カメラの費用は一万円単位の金額が発生します。
しかし、自費診療ならではのメリットもあり、一概に全額負担がデメリットだらけというわけではありません。
自費診療のメリットとデメリットを把握し、必要かどうかを確認しましょう。
- 自分の都合に合わせて予約が取りやすい
- 最新の設備や快適な環境で検査を受けられる
- 保険適用の条件を気にせずに定期的な検査が可能
- 無痛内視鏡など、ストレスの少ない検査方法を選べる
- 費用が高額になる
- 保険適用時と比べて経済的負担が大きい
- 医療機関によって価格差が大きい
このように、自費診療は金銭面の負担以外のデメリットがないため、快適性でいえば自費診療のほうが優れている場合があります。
そのため、金銭に余裕があり、なおかつより高度な胃カメラ検査を受けたい場合は保険適用外の胃カメラ検査を検討しても良いかもしれません。
内視鏡検査はありずみ消化器内科へ
胃カメラ検査の費用を抑える方法
胃カメラ検査は必要性が高い反面、費用が高く付きやすいのがネックです。
体に異常がある場合の胃カメラ検査ならば保険が適用されますが、胃がんや胃潰瘍を予防するための健康診断目的の場合、内視鏡検査はほぼ自費診療になります。
保険が適用されるのはあくまで病気や怪我の場合のみであり、健康診断目的では保険が適用されないケースがほとんどです。
そのため、人間ドックは費用が高くつきやすいため、二の足を踏んでいる人は少なくありません。
しかし、自治体の補助や税制制度を上手く活用すれば、自費診療でも負担を大きく軽減できます。
ここでは、費用を抑える具体的な方法を紹介しましょう。
自治体の補助制度を活用する
胃カメラ検査の費用を抑える方法として、最も手軽で効果的なのが自治体の補助制度です。
多くの自治体では、住民の健康維持を目的として、がん検診の一環として胃カメラやバリウム検査に対する助成制度を設けています。
がんは早期発見が重要であり、ネックとなっている自費診療の大半の費用を、自治体側が保証してくれるというシステムです。
例えば大阪市では男性の場合40歳以上の場合、自治体に申請することで大腸がん検診が300円程度、肺がん検診に至っては無料で行うことが可能です。
ここで注意したいのは、こういった補助を受けられるのは特定の条件を満たしていることが必須です。
例えば男性が胃カメラ検診で自治体の補助を受けたい場合、以下の条件が必須です
- 40歳以上
- 大阪市に住民票がある
- 勤務先で健康診断が行われていない
- 1年以内に健康診断を行っていない
など
より詳しい情報は大阪の自治体ホームページで書かれているので、気になる場合は確認しましょう。
また、自治体によって受けられる補助や金額は変動するため、注意しましょう。
医療費控除制度を利用する
医療費控除制度を活用することも、胃カメラ検査の費用を間接的に抑える有効な方法です。
これは年間10万円以上の医療費を支払った際、確定申告で一部が所得から差し引かれる制度であり、結果的に税金の還付を受けられます。
内容 | 詳細 |
---|---|
対象となる支出 | 医療費・通院の交通費・薬代など |
控除の条件 | 世帯合算で年間10万円以上の医療費を支出 |
必要な書類 | 医療費の明細書、領収書、交通費の記録など |
還付される金額例 | 医療費20万円 → 控除額約10万円 → 数千円〜数万円の還付 |
例えば、年間で胃カメラ検査に加え薬代や他の診療費を合算し10万円を超えれば、確定申告を行うことで数千円〜数万円の節税効果が得られます。
会社員であっても、医療費が一定額を超えた場合は積極的に申告を行いましょう。
申告には領収書の保管と「医療費控除の明細書」の作成が必要ですが、近年はe-Taxで手軽に申告できるようになっており、手続きのハードルも下がっています。
検査の費用を取り戻す手段として、有効に活用する価値があります。
胃カメラ検査とは?
胃カメラ検査(内視鏡検査)は、食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察できる検査です。
異常の有無を確認し、必要に応じて生検を行うことで、疾患の早期発見が可能になります。
胃がんや胃潰瘍などのリスクがある方にとって、定期的な検査は非常に重要です。
ここでは、そんな胃カメラ検査でわかる病気や検査の流れについて説明します。
胃カメラには経口と経鼻がある
胃カメラには、口から挿入する「経口内視鏡」と、鼻から挿入する「経鼻内視鏡」の2つの方法があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自身の希望や身体の状態に応じて選択が可能です。
項目 | 経口内視鏡 | 経鼻内視鏡 |
---|---|---|
挿入経路 | 口 | 鼻 |
苦痛の程度 | 強め(嘔吐反射あり) | 少なめ(反射が出にくい) |
画質 | 高精度 | やや低め |
鎮静剤の必要 | 使用するケースが多い | 使用せずに済むことが多い |
経口内視鏡は精度が高い反面、嘔吐反射が起きやすいため、苦痛を伴いやすいとされています。
嘔吐反射とは、喉が異物の侵入を察知した際に、侵入を防ぐために「オエッ」とえづいて体から排除しようとして起きる反応のことです。
一方、経鼻内視鏡は細いスコープを使用し鼻から挿入するため、嘔吐反射がないので苦痛が少なく、会話も可能なため人気があります。
ただし、鼻腔が狭い方や鼻血が出やすい方は不向きな場合もあります。
鎮静剤で胃カメラ検査の苦痛は軽減できる
胃カメラ検査で感じる不快感を和らげるために有効なのが、鎮静剤の使用です。特に経口内視鏡においては、嘔吐反射や不安感の軽減に大きな効果があります。
鎮静剤は、静脈注射で投与される薬剤で、半分眠ったような状態で検査を受けることができます。これにより「気づいたら終わっていた」と感じる方も多く、検査に対する心理的ハードルを下げられます。
- 鎮静剤使用は希望制で、医療機関ごとに対応が異なる
- 使用には同意書が必要な場合もある
- 使用後は眠気が残るため、検査後は運転禁止
胃カメラ検査でわかる病気
胃カメラ検査では、基本的に胃腸内で発症するすべての病気の検査が可能です。
具体的な病気には以下のものがあります。
病名 | 詳細 |
---|---|
胃炎(慢性・急性) | 胃の粘膜が炎症を起こし、胃痛や吐き気を催す状態 |
胃潰瘍・十二指腸潰瘍 | 胃の粘膜だけではなく胃壁まで炎症が広がっている状態 |
逆流性食道炎 | 胃酸の逆流により、食道の粘膜が傷つく疾患 |
ポリープ | 良性の腫瘍。基本的に害は少ないが大きさによっては手術が必要 |
胃がん | 悪性の腫瘍。初期段階で治療できない場合全身に転移の可能性あり |
胃腸の症状は、総じて初期症状が少ないため、病気が進行しなければ症状が出ないケースが多いです。
そのため、胃カメラ検査によって直接確認することで、初期段階で発見・治療が行いやすくなります。
検査の流れと所要時間
胃カメラ検査にかかる時間は10分~1時間と非常に幅が広いですが、一般的には1時間かかると考えてよいでしょう。
というのも、胃カメラを行う際の痛みを緩和するために鎮静剤を使用するためです。
検査そのものは10分前後ですが、鎮静剤が切れるまでにかかる時間を加えると1時間前後かかるのです。
具体的な流れは以下のとおりです。
- 事前準備:検査前日の夜から絶食し、医師の指示に従う。
- 問診と説明:検査の流れや注意点について医師から説明を受ける。
- 麻酔または鎮静剤の使用:経口または経鼻で検査を行うため、麻酔や鎮静剤を使用。
- 内視鏡挿入:カメラを口または鼻から挿入し、食道・胃・十二指腸を観察。
- 生検(必要に応じて):異常が見つかった場合は組織を採取して検査。
- 終了後の説明:検査結果について医師から説明を受ける。
胃カメラを行う際のクリニックの選び方
胃カメラ検査を受ける際は、信頼できる医療機関を選ぶことが重要です。
検査の質や快適さは医療機関によって異なるため、以下のポイントを確認しましょう。
- 専門医が在籍しているかを確認
- 経口と経鼻から選ぶことができるかを確認
- 鎮静剤を使用していることを明記しているかを確認
ここでは、この3つについて具体的に解説しましょう。
検査を行う場合は専門医が在籍しているかを確認
胃カメラ検査を行う場合、日本消化器内視鏡学会の専門医が在籍しているかを確認しましょう。
日本消化器内視鏡学会専門医とは、日本消化器内視鏡学会に5年以上在籍し、必要な技能を習得した医師のことです。
内視鏡検査の精度は、医師の技術や経験に大きく左右されます。
専門医がいることで、より正確な診断や適切な治療が期待できます。
また、検査件数が多い医療機関ほど、技術力が高く、負担の少ない検査が可能です。
経口と経鼻から選べる病院がおすすめ
胃カメラ検査を行う場合、経口、あるいは経鼻のどちらかを選べるクリニックがおすすめです。
経鼻内視鏡は、細いスコープを使用するため苦痛が少なく、比較的楽に受けられるという特徴があります。
一方で、病変の詳細な確認が必要な場合は、経口内視鏡が適しています。
どちらの方法が選べるかを確認し、自分に合った検査方法を提供しているクリニックを選びましょう。
鎮静剤を使用していることを明記しているか確認
胃カメラ検査を行う場合、鎮静剤を使用していることを明記している病院を選びましょう。
胃カメラが敬遠される理由として、カメラを入れる際に喉に触れることで激しい嘔吐感が生じることが挙げられます。
鎮静剤を使用することで嘔吐感を大幅に軽減できるため、鎮静剤の使用を明言しているクリニック選びは重要です。
基本的に、最近の消化器内科のほとんどは鎮静剤を使用していますので、使用していないクリニックを探すほうが難しいかもしれません。
まとめ
この記事では、胃カメラ検査の費用や検査を受ける場合の病院の選び方を紹介しました。
胃カメラ検査の費用は、保険適用の有無や医療機関によって異なります。
保険適用であれば自己負担額は抑えられますが、自費診療の場合は費用が高額になることもあります。
検査を受ける際は、専門医が在籍する医療機関を選び、経口・経鼻の選択肢や鎮静剤の有無を確認して、自分に合った検査方法を選ぶことが重要です。
胃の健康を守るためにも、定期的な検査を検討しましょう。